【レポート】製造業のAI&IoTビジネス動向 ~最先端を行く中国ビジネスに学ぶ~

SBクラウドは9月25日にソフトバンク株式会社と「製造業のAI・IoT」をテーマにしたウェビナー(オンラインセミナー)を開催しました。AI・IoTの技術は新しいイノベーションエンジンとしてあらゆる業界に変革をもたらし始めており、特に製造業においては品質検査・作業自動化・生産最適化などさまざまなプロセスで活用されています。

中国製造業の最新動向、IoT市場が活発なアメリカや中国の最先端事例紹介や日本で導入検討を行う際のポイント、製造業はじめ日本企業のIT活用の現状やIoTを活用して実現できる世界観など、充実したウェビナーの内容を編集してお届けします。

製造業におけるIoT&AIの利活用

1人目のスピーカーは、日中間で10年以上ビジネスに携わり、中国でロボットやAIビジネスを手がけるとともにコンサルティング事業を行っている唐徳権氏。唐氏が経営するイーパオディング株式会社は「個客ビジネスの自由自在のために」をミッションに掲げ、中国ハイテク産業調査・研究や国際協力サービスを提供しています。

「現在、世の中ではDXという言葉が頻繁に使われるようになり、中国でもホットワードになっています。中国では人工知能、IoT、ビッグデータを中心に、ハイテクノロジーをいかに活用してさまざまな場面で価値を向上するか、ということに注目が集まっています」。

では具体的に、中国の製造業ではどのように利活用されているのでしょうか。

「生産プロセスや設備などにおける全てのデータを収集する“モノのインターネット”と、膨大なデータをもとに分析・予測を行いIoT設備にフィードバックする“人工知能”の2つの面があり、どちらも“データ”が中心になっています」。

この前提をもとに、総合基盤(インダストリアルブレイン)・品質検査(マシン・ビジョン)・予測型メンテ(分析・予測)・スマートファクトリーの4つの分野が構築されているそう。

 

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中国製造業におけるAI利活用業界地図

 

「この4つの分野には、さまざまな企業が進出しています。総合基盤の分野の代表的な企業は、アリババです。アリババはデータとビジネスの融合を目指していて、“すべての業務をデータ化”と“すべてのデータを業務化”の2つを行っています。アリババのET Brainは機械・プロセス・環境・作業員など、ありとあらゆる製造データを収集し、そのうえでAIを活かした認識・推論・意思決定支援を行います」。

それを実現した例として、唐氏はアリババが最近発表した迅犀数字(シュンシーデジタル)工場を挙げました。

「アリババはTモールなど複数のECサイトを運営しており、そのデータを収集しています。この工場ではそのデータを活かして、たとえばアパレル業界だったらどんな服に人気があって、どのぐらいの需要があるかを分析します。それにより利益拡大と在庫管理を図りながら、パーソナライズされた消費者のニーズにも対応できるようになります。メーカーは小規模でも生産を依頼することができて、約7日後には受け取ることができます。自社で工場をもつ必要もなく、従来のアパレル業界が抱える在庫問題も解消することが可能になりました」。

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迅犀数字(シュンシーデジタル)工場

 

総合基盤のアリババだけでなく、品質検査・予測型メンテ・スマートファクトリーの分野にも代表されるような企業があり、中国では進化が続いていると唐氏は語ります。

「中国のスマートファクトリーは日本と比べても発展途中のところがあります。ですが中国ではさまざまな工場で利用されるシーンがあるため、試行錯誤を繰り返していけるというところには大きな価値があります。今後も注視していきたいと思います」。

 

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唐 徳権(イーパオディング株式会社 代表取締役社長、北京璞華ロボット情報技術有限公司 Founder)

中国におけるロボット及び人工知能事業、日中間のビジネスコンサルティングに従事。
ロボットや人工知能についての情報発信も積極的に行っている。日経クロストレンドでは「中国デジタル革命の深層」という連載を執筆中。

NB-IoTで変わる世界。グローバルトレンドに学べ!

続いて登壇したSBクラウドの野嶋はNB-IoTのグローバルトレンドついて解説しました。「NB-IoT」とは「ソフトバンクが日本ではじめてサービス化を実現した、高速のデータ通信を必要としないIoT向けのLTE通信サービス」のことです。

「IoTシステムを構築する際には通信速度やデータ量を考慮する必要があるため、通信手段は1つの課題になります。そのため、実現したいシステム像に合わせた通信方式を選択する必要があります。LTEやWi-Fi、Bluetoothなど、さまざまな方式がある中で、LPWA(Low Power Wide Area)は、広域・遠距離、かつ小消費電力・低コストで運用が可能です。長距離通信が必要、電源が取れない、データ量が少ないという場合にLPWAが採用されるケースが多数あります」

LPWAの中にも種別があり、免許不要帯域(900MHz帯、2.4GHz帯域)と、免許帯(携帯電話用周波数等)と大きく2つに分けることができ、NB-IoTは免許帯の1つの規格。

「LPWAの中でもNB-IoTは今後大きく伸びると予測されています。その理由は、キャリア提供の安定性、全国をカバーする既存のLTE網利用、LTEを踏襲する安全性と、3つの利点があるからです。実際に、セルラーIoTの中でもNB-IoTがシェアを大きく伸ばしています」。

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LPWAとは

 

中国でもNB-IoTモジュールの価格が欧米諸国に比べて下がったことによりNB-IoTの導入が進んでいるとのこと。

「中国では2025年にはLPWAネットワーク機器の利用台数が18億5千万台まで増加すると言われています。現在も、チャイナテレコムはスマートシティ用としてNB-IoTネットワークを拡大、チャイナモバイルはシェアリングバイクやコロナ対策として活用、チャイナユニコムは賃貸住宅の管理システムや煙感知器のネットワークで利用しています」。

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中国で進むNB-IoT

 

SBクラウドのIoT事業もAlibaba Platformとソリューションを活用し、NB-IoTネットワークを利用する温湿度マルチセンサーやスマート重量センサーなどを展開しています。

「NB-IoTが万能というわけではありませんが、GPSトラッカーやスマートメーター、環境センサーなどとの相性は抜群です。全てのモノがネットワークと繋がるIoTの世界では、NB-IoTが非常に重要な役割を担う通信手段になっていると考えます」。

 

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野嶋 将光(SBクラウド株式会社 IoT事業推進室)

独立系SIerにてSEとして5年間従事。その後、企画としてSaaS/IoT系のサービスの企画の立ち上げを行う。
並行して展示会/セミナー/WEBサイトなどのマーケティング活動も兼務。2018年よりSBクラウドにJoinし、企画としてAlibaba IoTの普及にあたる。2019年初頭にはIoTの専門家として人流解析に関する対談を行う。

日本の製造業におけるIT活用・IoTで実現できる世界観

最後のスピーカーは、ソフトバンク内に4月に発足したデジタルイノベーションCoE室に所属する北山氏。

「弊社がなぜIoTを活用した事業を行っているかというと、世の中にはインフラの老朽化や労働人口の低下、最近でいうとコロナで物流のドライバーが減ってしまうなど、さまざまな社会課題があるなかで、そこに対してITの力で貢献したいという気持ちがあるからです。ソフトバンクは“すごい明日を、みんなのものに。”というスローガンを掲げ、不都合や不満、不安を取り除く問題解決のためのIoTソリューションを開発しています」。

経済産業省が提唱する「2025年の壁」(企業のデジタルトランスフォーメーション化が進まなければ2025年以降に年間12兆円の経済損失が起きるというレポート)により、DXに対する意識はどの企業でも高まっています。とは言うものの、課題を感じている様子の北山氏。

「DXの推進にはデジタル技術の活用など“攻めのIT投資”が必要ですが、現実は約8割がレガシーのシステムをそのままクラウド化しようとするなど“守りのIT投資”になっていて、大きなギャップを感じています」。

DXを実現するために、ソフトバンクは6つのポイント(業務省力化・新技術導入・ゼロトラスト化・ペーパーレスオンライン化・テレワーク 働き方改革・OTセキュリティ対策)があると捉えています。

 

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「弊社もコロナの影響でテレワークが当たり前になり、今は会社がオフィスに来てもらうために何を用意すべきか、という新たなフェーズに来ていると感じます。今年、竹芝に新社屋が完成しましたが、社内にはさまざまなセンサーがあり、デジタル化による新しい働き方を徹底しようとしている段階です」。

IoTサービスプラットフォームにも力を入れていて、製造・物流・観光・農業など、さまざまな分野でデータを掛け合わせたスマートな社会を実現する試みを行っています。

「たとえば、製造工場では検品の自動化、機械学習による設備の故障予測、高機能カメラ撮影で点群データを作成してパイプのひずみなどをチェック、ドローンを利用した全体の情報取得など、幅広い作業に取り組んでいます」。

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ソフトバンクのIoTサービスプラットフォーム

 

最後に北山氏は、「これまでは“スマート化”というとオフィスの話が多く語られてきました。ですが、私たちはオフィスと製造現場の両方をスマート化することがゴールだと思っています。今後も弊社は“共創”をテーマに、データとデータ、企業と企業を繋げ、自社だけではなしえなかった新しい価値を創り上げていきます」と締めくくりました。

 

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北山 正姿(ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人プロダクト&事業戦略本部 デジタルオートメーション事業第1統括部 デジタルイノベーションCoE室

ソフトバンク法人事業にて、IoTを主軸においた新規ソリューション事業企画、推進 に従事。法人DMO兼務。
共創パートナーとともに、安心、安全で持続可能な ソリューション展開に取り組んでいる。

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