
中国を拠点とするITライター、山谷剛史さんが中国国内のITトレンドを紹介する連載です。今回はドラッグストアチェーン「Watsons(屈臣氏)」のニューリテール事例を取り上げます。
スマート化を行ったドラッグストアチェーン「Watsons(屈臣氏)」の面白い試み

中国本土の省都クラスの都市には、沿岸部内陸部問わず、Watsons(屈臣氏)というドラッグストアがあります。香港・台湾・東南アジアでも展開していますが、中国本土のWatsonsを紹介します。
Watsonsでは化粧品や日用品、それにお菓子やジュースなどが売られています。モールに店舗よくあることから、モール内でジュースを買いたいときにはWatsonsで買うといいでしょう。中国に足を突っ込んだ読者にはおなじみのWatsonsですが、中国での本格チェーン店展開は1989年からというのだから、中国では老舗中の老舗のチェーン店と言えるでしょう。
激変する中国では、数年同じサービスや外観のまま続けていくとどうにも相対的に古臭さが出てきます。ところがWatsonsは老舗でありながら古さを感じず、生き残っています。
Watsonsは阿里巴巴(アリババ)発のニューリテールブームの流れに乗って、ニューリテール化を進めました。私がWatsonsで見つけたスマート化について挙げていきます。店によってもっとあったりなかったりするかもしれません。
レジを通さずスマホ決済

各商品棚にQRコードがついててレジに行かずにキャッシュレスで購入ができます。例えばジュースの入った冷蔵庫にQRコードが貼ってあって、それをスキャンすると、飲料の商品一覧が出て、微信支付や支付宝でのキャッシュレス決済が可能です。
近くの店員にスマホの決済完了画面を見せた後、商品を持ち出します。消費者の良心に依存したサービスではあります。
化粧品カウンセリング事前予約

店舗前にはアプリダウンロードのQRコードが用意されています。アプリからは化粧品のカウンセリングの予約ができます。それほど普段から混雑しているわけではないですが、事前に予約できるといいですね。
日本の店舗でも、事前予約がアプリやサイトからできると楽そうです。店舗前にQRコードがあるとさっと店舗ページに飛べていいですね。
スマートミラーの導入

一見普通の鏡に見えて、口紅やファンデーションを付けたイメージが映し出されるAR的なスマートミラーが導入されていました。化粧品を実際利用せずとも実際の利用イメージがわかり、しかも多種多様な色の製品に対応します。
一連の加えられた新サービスを見てみると、まさにアリババが提唱した既存店舗のニューリテール(新零售)化をしたと言えるでしょう。日本であればPAYPAYやLINE PAY対応、それにインバウンドを見越してWeChatPayやAliPayに対応すると魅力的な店舗になるのではないでしょうか。
筆者プロフィール
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山谷 剛史(やまや たけし)
1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など
公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/YamayaT
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