中国で続々登場している幼稚園向けの人型ロボット事例

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Bingoのスマートロボット

中国で幼稚園向けの人型ロボットが続々と開発され、中国全土の幼稚園で少しずつ導入されています。親はデジタルネイティブで幼少期から豊かな中国を体験している1990年代生まれなので、ハイテクな幼稚園への理解がある人が多いのですが、何のためのロボットなのでしょうか。

先駆けとなったのは北京愛賓果科技(略称:愛賓果。英名BINGO)という企業です。同社は幼稚園用ロボットと家用ロボット、それに幼稚園向け学習システムを提供しています。

このうち49,800元(日本円で約75万円)する幼稚園ロボット「BINGO」を紹介しましょう。このロボットには顔の部分に表情を出すディスプレイとカメラが配備されており、おなかの部分にはカスタマイズされたAndroidを操作するタッチパネルディスプレイが配備されています。

スマートスピーカーのように会話機能があり、物語の読み聞かせや英語や化学など、様々な授業コンテンツを音声配信する機能があります。また曲を流して前後左右に動くほか、ロボット掃除機のように動き回ることだって可能です。

これらに加えて、朝の登園と夕方の帰宅時に、子どもにあいさつをします。この時、ロボットは園児とあいさつをするときに、園児の写真を撮ります。また授業中も回転して移動しながら、園児を見つけて写真を撮っていくのです。それを顔認証で誰かを認識し、園児の親に写真を送信してくれるのです。

かわいい年頃の子どもの授業時の表情を撮られるわけですから、親としてもうれしいですね。

「自然言語処理を含む音声認識や顔認識はAIを活用し、また同社独自開発の学習コンテンツを活用した授業とその反応はビッグデータとして活用される」と愛賓果は発表しています。同社によれば、3,000カ所の幼稚園で50万人の幼稚園児が利用しているそうです。

 

先生の補佐ができそうなロボットですが、もともと中国の幼稚園ではパソコンなど情報端末が導入されていたため、動画を見せることはよくありました。インタラクティブなコンテンツや動画再生をするデバイスは幼稚園にこれまでも当たり前にあり、ここに動けるロボットが加わった形です。

ロボットにしても、家庭用の子ども向け教育ロボットは無数の企業から登場しています。ロボット掃除機のように自在に動き、スマートスピーカーのように会話ができ、教育用Androidタブレットのように学習コンテンツを提供するロボットというのは数万円で発売されています。

BINGOはクラウドによる授業データの蓄積や、顔認証による保護者それぞれへの写真送信、それに同社の学習システムが新しい所です。

 

ここまでは愛賓果の話ですが、さらに最近ではアフターコロナで衛生面にナーバスになったことが背景なのか、幼稚園ロボが新たにいくつかの企業から登場しました。

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愛諾達のスマートロボット

愛諾達(ARROW)という蘇州の幼稚園用スマートロボット専業企業が開発した人型ロボットは、正面にタッチパネルディスプレイほか、医療用温度センサーとカメラを配備し、園児がロボットに手を入れた時に顔と手の写真を撮り、顔認証で登園をチェックするとともに、体温を測定し目と手と口に異常があるかをAIでチェックします。多くの園児が同時に登園するニーズに応えて3秒内に2人の子供をチェックできる能力があるとしています。

また、微幼科技(WEKIDS)という深圳の幼稚園向けシステムを扱う企業が開発した人型ロボットも同じように体のチェックを行います。愛諾達のスマートロボット同様に手を入れる場所があり、ロボットの前に立って手を入れることで手を消毒しつつ手の写真を撮り、消毒と手の病気がないかを同時にチェックし、また顔写真を撮影して顔認証で誰が登園したかをチェックするほか、目と口に異常がないかをAIでチェックします。さらに体温、身長、体重、BMIなどを体のデータを記録し、それを幼稚園と保護者に送ります。

いずれも写真を撮影しクラウド側で目・口・手について異常はないかAIで高速に分析し、病気があればその早期発見が可能となり、伝染病を防ぐことができます。また登園で子どもが健康チェックをすり抜けた場合も、誰がすり抜けたかすぐにわかるわけです。多くの人が近づいて手を入れて利用しますが、自己消毒する仕組みはあるとしています。

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微幼科技のスマートロボット

まとめると、最近中国で導入された幼稚園ロボットは、コンテンツを再生したり子どもと対話したりするだけでなく、朝夕の登園と帰宅時ほか様々なタイミングで写真を撮り、顔認証でどの園児かを判別し保護者に写真を送るなどして幼稚園の先生をサポートしているのです。さらに学習データをクラウド側に蓄積してビッグデータとして活用し、最近出てきたものについては目・口・手を撮り、写真から園児の病気の早期予測まで行っています。クラウドやAIやビッグデータを活用した、今時のロボットなのです。

 

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筆者プロフィール

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山谷 剛史(やまや たけし)

1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。

主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など

公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/YamayaT