教育×Techで世界展開するスマートエデュケーションが中国進出時に苦労した最大のポイントとは?

こどもモードKitsのWebサイト http://kdkits.jp/

株式会社スマートエデュケーション CTO 谷川裕之氏

スマートエデュケーションは、「世界中の子ども達のいきる力を育てたい」というビジョンのもと、未就学児向けの教育コンテンツの企画開発・販売や保育施設向けのカリキュラムの販売などを行う企業です。

現在は国内だけでなく、中国をはじめとする海外にも事業を積極的に展開しています。そこで今回は同社のCTO/プログラマーの谷川裕之氏に中国進出のエピソードを聞きました。

 

最初に、スマートエデュケーション創業の経緯を教えてください。

谷川:スマートエデュケーションは、ガラケー向けのプラットフォームやソーシャルゲームの開発の仕事をしていた私を含む5人のメンバーが集まって、2011年6月に設立した会社です。私たちは前職の時代から教育分野にも興味があったので、スマホやタブレットなどのスマートデバイスが出てきた2011年のタイミングで「この機会に自分たちで“教育”に挑戦してみよう」と創業したんです。

 

「教育分野」とは、子どもに特化した教育ですか?

谷川:いえ、最初は子ども向けの教育に絞っていたわけではありませんでした。大人向けのTOEIC学習アプリなども開発していたのですが、子ども向けのアプリを出したところ大きな反響を呼び、投資家からの後押しもあったので、創業から半年が経過した頃に子ども向け1本に絞ることを決めました。

ただ、もともと子どもの教育に大きな可能性を感じていたのは確かです。ガラケーのゲームは全く遊んでくれない子どもたちも、iPhoneが登場すると、使い方を教えてもいないのに勝手に触って遊ぶ姿を見てきました。弊社社長の息子さんも幼稚園のときに何も教えていないのにスマホの大富豪ゲームで遊ぶようになってマスターしたと聞きました。やっぱりスマートデバイスは子どもと親和性があるから、そこに賭けてみようと考えたんです。

 

最初にヒットしたアプリはどのような内容だったのでしょうか?

谷川:「おやこでリズムえほん」というアプリです。子どもの絵本でピアノの鍵盤やボタンがついていて、音楽が流れるものがよくありますよね。当時から人気がありましたが、あれは音質が良くないし、入っている曲の数も限られているので、スマホならば本物の楽器の良い音で、たくさんの曲を楽しめるからつくってみようと思ったんです。当時、そのようなアプリがなかったので、アプリストアのランキングでトップを獲ることができました。

「おやこでリズムえほん」

これを出したことで弊社が注目されるようになり、ディズニーやアンパンマンなど、有名キャラクターのライセンスをもっている企業からも「一緒にアプリをつくりませんか?」と声がかかるようになって、開発するアプリの幅が広がっていきました。アンパンマンはやっぱり人気で、普通のアプリはリリースして3、4年経つと人気が落ちてきますが、アンパンマンは常に圧倒的に人気がありますね。

 

海外でもアプリを展開していますが、海外進出は創業当初から視野に入れていたのでしょうか?

谷川:はい、子ども向けアプリの開発をはじめた頃から海外展開は考えていました。なぜなら、小学生以下の未就学児向けのアプリの場合は、文字が不要で、どの国の子どももみんな音楽が好きだから、グローバルに展開しやすいと思ったからです。もう少し年齢が上がると、文字や計算など、各国の文化的要素が入るから難しくなるので、未就学児をターゲットに展開しようと考えていました。

最初は日本で出したアプリをローカライズすることからはじめました。ただ、日本でヒットした「おやこでリズムえほん」も北米で出しましたが、北米は日本のJASRACのように音楽の著作権が一括で管理されていないのでライセンスの関係で難しいところなどがあり、なかなかうまくいかなかったんです。

 

海外展開のブレイクスルーになったきっかけは?

谷川:2015年に出した、誰も見たことのないお寿司を子どもの自由な感性でつくることができるアプリ「TO-FU おっ!すし屋さん」です。寿司は世界で人気のコンテンツで、わさびを大量に入れて食べさせたときのベタなリアクションが海外でも受けたようで、最初はタイの有名ユーチューバーが動画で取り上げてくれて、爆発的な人気になりました。今では東南アジア中心に1,500万ダウンロード以上、今も1か月に数十万ダウンロードほどされています。そこからはロシアや北米にも人気が波及していきました。

「TO-FU おっ!すし屋さん」

御社は「TO-FU おっ!すし屋さん」のようなtoCのアプリだけでなく、幼稚園で使うtoBのアプリもつくっているんですよね?

谷川:はい、弊社の有名キャラクターのアプリを幼稚園で使っていただいていると聞いたことがきっかけで幼稚園との繋がりができ、幼稚園の教材をつくる構想が生まれて、幼稚園/保育園など保育施設向けカリキュラム「こどもモードKits」の開発をスタートしました。Kitsは「いきる力を育むカリキュラム」で、創造力、チームワーク力、ICT活用力を育むたくさんの教材が用意されています。

こどもモードKitsのWebサイト http://kdkits.jp/

こどもモードKitsのWebサイトより http://kdkits.jp/

たとえば、Kitsの中には「アートポン!」というアプリがあります。アートポン!は園児が自由に描いた生物の絵をiPadで撮影して取り込むと、アプリの海の中で自由に泳ぎ回るもので、人気がありますね。

 

KitSカリキュラムは現在、国内だけでなく、海外にも展開されていると聞きましたが、そこではさまざまなご苦労があったそうですね?

谷川:日本の教育コンテンツは世界的に安心感があるようで、最初は代理店経由でタイやベトナムの幼稚園にKitSカリキュラムの販売をスタートしました。さらに今年9月からは新学期がはじまるタイミングに合わせて中国にも販路を広げようと考えたのですが、toC向けのアプリを中国で販売した経験から、日本企業にとっては他の国にはないハードルがあることはわかっていました。

そこで調査をはじめたところ、最初に出てきたのは「通信の問題」でした。弊社のシステム状況を説明すると、toCアプリ事業のサーバーはAWS、KitS事業はGoogleのクラウドプラットフォーム「GCP」を使っていますが、中国ではGoogleを使えないので、そもそもアクセスができなかったんです。

 

「中国で通信ができない」というときにAlibaba Cloudに着目していただいた、と。

谷川:そうです。Alibaba Cloudの存在は以前から知っていたので、今年6月にAlibaba Cloud、AWS、Azureなど、さまざまなクラウドを使って2週間かけて検証することにしました。その中で最もエラーが少なかったのがAlibaba Cloudで、エラー率は1%弱程度。「これはいける!」と思ったんです。

 
 

ただ、その後、アプリを更新して検証し直したところ、なぜか急に繋がらなくなってしまって……。ちょうどAlibaba Cloudのイベントに参加する機会があり、その場で知り合ったSBクラウドの方に相談したところ、「Cloud Enterprise Network(CEN)」(※1)を紹介してもらい、使ってみるとすぐに繋がったんです。これまでの悩みは何だったんだと思うほど簡単に繋がりましたね。スモールスタートでき、価格も手頃なのですぐにCENの採用を決断しました。

そもそもの話をすると、問題解決のために中国の代理店に相談していたのですが、意外と中国の方はグレートファイヤーウォールのことを詳しく知らなかったりして、どうしていいかわからなかったのですが、SBクラウドの方のほうがよほど中国の通信事業に詳しくて助かりました。

※1  Cloud Enterprise Network :VPC間またはVPCとオンプレミスデータセンター間にプライベートネットワーク通信を構築。ダイナミックルーティングを使用することにより、ネットワークの収束とネットワーク間通信の品質およびセキュリティが向上し、すべてのネットワークリソースの相互接続を実現する。

9月に中国で事業をスタートして1か月弱が経過しましたが、その後の経緯はいかがですか?

谷川:検証期間はいろいろと大変なことがありましたが、9月にスタートしてからは大きなトラブルが全くなくて、安心しています。

Alibaba Cloudに関して改めて振り返ると、最初にAPI の運用管理の手間から解放されるフルマネージドのサービス「API Gateway」を使ってみて好印象をもちました。さらに、他のクラウドサービスと比べてユーザーサポートが早いですね。問い合わせをするとすぐに返信が来て、不具合の対応をしてくれるので、スピード感が他と全く違います。

そのうえ、サービスは必要なものは十分揃っているから、GCPやAWSを普段使っている私たちも違和感なく使うことができました。

Alibaba Cloudに対する要望もぜひ教えてください。

谷川:マネジメントサービスを使っていますが、弊社は社員数15人でエンジニアは私1人と、少人数の会社なので、マネージドサービスが充実していると便利ですね。また、Google App Engineの中国版のようなものができたら弊社も絶対に使います。

とはいえ、現在でも中国でビジネスをやろうと考えたらAlibaba Cloud一択だと思いますよ。安心感があるし、サポートも早いので、中国ビジネスがやりやすくなります。

ありがとうございました! 最後に、御社の今後の展開は?

谷川:KitS事業は軌道に乗ってきているので、国内外含めて導入していただける園を増やしていきたいですね。アプリは海外にもっと力を入れ、特にマーケットの大きな北米を狙っていきます。さらに、商業施設の子ども向けのデジタル遊具にも力を入れていこうと思っていますので、ご期待ください!

 

<関連リンク>

www.smarteducation.jp

jp.alibabacloud.com

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<Alibaba Cloudユーザーインタビュー>

www.sbcloud.co.jp

www.sbcloud.co.jp