「脱Oracle」をどう実現するか?DB移行のポイントとは(テックコラム)

 

多くのお客様から、データベースの運用、特にOracle DBをはじめとする商用DBの運用に悩んでいるというお声を頂きます。
ECをはじめ幅広く事業を展開しているアリババグループも、かつてはDB運用におけるコストやスケーリング、ベンダーロックインといった課題に直面し、その課題を乗り越えてきました。

SBクラウドでは、そのような経験を踏まえて開発されたAlibaba Cloudのプロダクトを活用し、お客様のDB移行を支援しています。本コラムでは、これまでのサポート実績を元に、「脱Oracle」を含めたDB移行におけるよくある課題と解決策について解説します。

 

概要

・DB移行において「多大なコスト」、DB移行の経験・スキル等の「ノウハウ不足」、製品のスペシャリスト・既存環境の有識者等の「人材不足」といった課題が挙げられる。
・アリババは自身のサービスで「脱Oracle」を行った経験を元に、DB移行に関するプロダクトを開発。それらを活用することで、最大70%のコスト削減と60%DB運用工数削減を実現することができた。
・SBクラウドでは、経験豊富な専門家がこれらのプロダクトを駆使し、お客様のDB移行をサポートしている。

 

 

DB移行のフローとよくある課題


一般的なDB移行のフローは以下の通り。
 (1)情報収集 :既存環境での利用状況を把握
 (2)移行先選定:互換性の確認を含めた移行先の製品を選定
 (3)移行   :データ及びスキーマの移行を実施
 (4)改修   :製品間差異により生じたアプリケーション側での修正作業を実施
 (5)性能試験 :性能を確認の上、環境切り替えを実施し移行終了

f:id:sbc_kitano:20201013103652p:plain
<データベース移行の流れ>

しかし、各フェーズではそれぞれの専門知識が必要となり、システム規模によっては移行期間が数ヶ月以上の大規模な作業になります。さらに切替期間中にシステム停止などを伴うことも多いので、各種アプリや業務に様々な影響を与える可能性もあります。

実際に、すでに商用DBのライセンス費用に困っている一方、「多大なコストがかかるので移行に踏み切れない」というだけでなく、「知識・ノウハウがなく失敗しないか不安である」といった懸念もよくお伺いします。まとめると、以下の3つの課題に集約されます。

f:id:sbc_kitano:20201013104800p:plain
<DB移行に伴うよくある課題>

 

「コスト」については、移行に伴うマイグレーション費用やDB冗長構成維持費用だけでなく、新しい技術の学習コストも含まれます。また「ノウハウ」については、移行に関する経験やスキル、移行先のDB選定に関する知識、マイグレーションのテスト手法などが挙げられます。そして「人材」については、製品ごとのスペシャリストや既存環境の有識者など、人材確保に苦労している場面が多々見受けられます。

では、これらの課題を解決するにはどのような方法があるのでしょうか。

 

アリババのノウハウを結集しDB移行の課題を解決


アリババ自身が「脱Oracle」した背景

解決策の前に、まずアリババ自らの「脱Oracle」の歴史と当時の葛藤について簡単にご紹介します。

アリババグループは、2005年から2009年にかけて、当時多くのエンタープライズ企業が導入していたOracleの商用DBを利用していました。
しかし、「コスト」「スケーリング」「ベンダーロック」といった課題をうけ、2010年からオープンソースデータベースへの移行に挑戦します。

しかし実際の移行においても、「業務・サービスへの影響の懸念」「移行のノウハウ・経験不足」「移行作業および移行後の運用負担(リソース不足)」といった課題に苦しみました。

f:id:sbc_kitano:20201013105425p:plain
<アリババ自身が経験したDBにおける課題>

このような自身の経験をもとに、「脱Oracle」のノウハウを結集したプロダクトを開発し、同様の課題に直面するお客様のサポートを行なっています。数あるプロダクトの中でも、特に注目すべき3つのプロダクトを紹介します。

f:id:sbc_kitano:20201013111141p:plain
<DB移行を支えるプロダクト>

データ移行サポートツール「ADAM」

最初に行う情報収集に最適なのが「Advanced Database and Application Migration(ADAM)」です。これは既存システム環境の状況を整理し、レポートを作成するプロダクトです。

f:id:sbc_kitano:20201013111310p:plain
<Advanced Database and Application Migration(ADAM)>

大きく分けて「①DB移行診断、②アプリケーション移行診断、③DB移行、④アプリケーション移行」の4つで構成されています。移行先のDB選定のみならず、スケール変換やスキーマ変換、テーブル構造修正など、自力では膨大な費用と工数がかかる作業をワンストップで実施できる機能を多数搭載しています。

次世代クラウドネイティブDB「PolarDB」

MySQLやPostgreSQLといったオープンソースRDBMSとは100%、Oracle DBとも高い互換性を持つ次世代分散RDBが「ApsaraDB for PolarDB(PolarDB)」です。ストレージとコンピューティングを分離させ(分散DB)、通常のMySQLの最大6倍のパフォーマンスを実現しただけでなく、Oracle DBの課題であった柔軟なスケールイン、スケールアウトを可能にしています。

f:id:sbc_kitano:20201013111623p:plain
<ApsaraDB for PolarDB(PolarDB)>

最大100TBまでストレージがスケーリングするだけでなく、細かいメンテナンスも含めてフルマネージドサービスとしての提供であり、運用の負担を最小限にできます。

 

高速データ転送サービス「DTS」

「Data Transmission Service(DTS)」はAlibaba Cloudのデータ同期サービスで、DB間のデータ転送を高速で実行します。最高100MB/sで全量データ移行が可能。また、異なるDB間(OracleとMySQLなど)でも同期できるという特長があります。

f:id:sbc_kitano:20201013125042p:plain
<Data Transmission Service(DTS)>

このDTSと先述のADAMと組み合わせることで、既存のDBから高速かつ安全な移行が可能になるのです。

70%コスト削減、60%工数削減

これらのプロダクトを活用してDBを移行することで、Oracle DB最大のネックであるコストを大きく削減することができます。Oracle DBを利用した場合、特に初年度はハードウェア費用やライセンス料などに大きくコストを費やしていたでしょう。同サービスと比較し、Alibaba Cloudは30%から70%のコスト削減を実現させています。

f:id:sbc_kitano:20201013112523p:plain
<“脱Oracle”における、コスト・工数を大幅に削減可能>

そして移行において「ノウハウが無い」という課題においても、「ADAM」「DTS」の移行プロダクトを活用することで解決することができます。

 

SBクラウドのプロフェッショナルがサポート


SBクラウドでは、経験豊富なプロフェッショナルがこれらのプロダクトを駆使してDB移行をサポートしています。

Alibaba Cloudを用いた「脱Oracle
<Alibaba Cloudを用いた「脱Oracle」>

チームメンバーは、プロジェクト経験も豊富で、アリババグループとの関係も活かして中国最先端の情報や技術に精通しており、アリババのDB移行に関する認定試験を取得した「データベース移行のスペシャリスト」で構成されたチームです。

グローバルなプロジェクトでも、日本語、英語、中国語に精通したメンバーが対応。SBクラウドが主導するトータルサポートのDB移行はもちろん、お客様にノウハウを提供することで、いずれ自社で解決できるような環境を整えるなど、ニーズに合わせたサービスを展開しています。

詳細や具体的な事例は、以下のコラムで紹介しています。

 

次回のコラムでは、SBクラウドのプロフェッショナルサービスで、アクティブディレクトリやファイルサーバー、仮想デスクトップサービスなどオフィス環境の最適化をサポートした事例についてご紹介します。 

 

<関連リンク> 
SBクラウドのサービスについて

 

f:id:sbc_kitano:20201014101329p:plain

SBクラウド株式会社 技術部 プロフェッショナルサービス&ソリューションデリバリー課

謝 洋

2007年に来日し、大学では社会学を専攻していましたが、物づくりが好きという理由で、日本のITベンダーに就職。
製造、自動車、銀行など幅広い業界を経験してから、SBクラウドへ転職。現在は主にビッグデータ系のプロフェッショナルサービスをお客様へ提供しています。最近気になるオープンソースはApache Flink。