インバウンド旅行者に新たな価値を提供するスタートアップ、otomoに聞く創業ストーリーと今後の展望

左から、otomo株式会社取締役COO北川朝輝氏、代表取締役CEO平塚雄輝氏、取締役CTO末並晃氏

otomo株式会社(以下、otomo)は、インバウンド旅行者向けに国内各地の外国語スキルを持つ人材をガイドとして紹介するプライベートツアーサービス『otomo』を運営するスタートアップです。

2019年1月22日の正式リリース以降、ツアープラン数や登録ガイド数は順調に伸びており、現在全国9都府県(東京・大阪・京都・神奈川・千葉・埼玉・奈良・兵庫・福岡)にて合計200種類以上のツアープランを提供し、400名以上がガイドとして登録しています。

今回はotomoを創業した経緯と今後の展望について、同社のCEO平塚雄輝氏、COO北川朝輝氏、そしてCTO末並晃氏に聞きました。

では、さっそくotomo創業のきっかけについて聞かせてください。

otomo株式会社代表取締役CEO平塚雄輝氏

otomo株式会社代表取締役CEO平塚雄輝氏

平塚:創業のヒントは、私が数年前にバックパッカーとして世界各国を旅していた時の経験にあります。ミャンマーのバガンという都市にある遺跡を訪れた際、遺跡の入り口に小学校5〜6年生くらいの現地の女の子が立っていました。東南アジアなどの発展途上国の観光地ではよく見る光景なのですが、彼女は観光客向けに10枚綴りのポストカードを10ドルで販売していたのです。

当然私にも声をかけ、10ドルという値段は割高に感じたので購入を断ったところ、彼女は最終的に1ドルまで値段を下げたのですが、ポストカードを購入することなく早々と遺跡の中へ歩を進めました。

しかし、彼女は暇だったのでしょうか、私の後をついてきて遺跡の案内を始めたのです。彼女はいつも遺跡のそばに立っていることもあり、観光案内はお手の物でした。最初は10分程度遺跡を見て回ったら別の場所に向かおうと思っていたのですが、彼女のガイドは非常に魅力的で、結局30分程度遺跡の中を巡っていました。 決して自分では気づくことのできなかった、その遺跡の魅力を様々な視点から解説してくれたのです。

案内が終わった後、私は彼女が売っていたポストカードを購入することにし、1ドルではなく10ドルを彼女に渡しました。ただ、その10ドルはポストカードという”商品”への対価ではなく、ガイドという”体験”への対価であることを彼女に伝えたのです。

この出来事がotomoの事業構想につながっています。誰しもが持つ自分が住む土地の知識や魅力といった情報は外から訪れる旅行者にとっては十二分に価値があるものです。この構想を、当時同僚であった北川に持ちかけたのが、otomoの始まりです。

otomoのサービスコンセプトムービー

北川:私は前職で平塚と一緒に働いていました。オフィスの一角でこの話を突然聞かされた時は「何を言っているのだろう?」と驚いたものです。(笑)ただ私自身、昔から起業への想いは強く、平塚の考え方に共感する部分も大きかったため、otomoの創業へ踏み切ったわけです。

起業しようと考えてからも前職の仕事は続けられていたと伺いました。起業に向けてどのような準備を進めていたのでしょうか。

平塚:準備を始めたのは2016年夏でした。最初は北川と2人で土日を利用して事業計画を立てていきましたが、それから徐々にメンバーが増えて…まるでRPGのゲームのようでワクワクしたものです。

通訳案内士法の規制緩和を会社設立のタイミングとして見据えていたので、「いつ法案が通過するか!?」と毎日のようにチェックしていましたね。(笑)満を持して会社を設立したのが2017年4月になります。

どの段階で「このビジネスは成功する!」と確信していましたか?

otomo株式会社取締役COO北川朝輝氏

otomo株式会社取締役COO北川朝輝氏

北川:政府は2020年に訪日外国人旅行客を4,000万人にすることを目標に掲げています。私は前職で様々な企業や市場の調査をしていましたが、実際にインバウンド市場の伸び率は目を見張るものがあります。毎年2ケタ成長している市場はここくらいでしょう。

また、従来は通訳案内士法という規制によって、ツアーに参加したいという旅行者の需要に対し、案内できるガイドの人口が限られていました。しかし、2018年1月の規制緩和によって潜在的なガイド人口が爆発的に増加することになります。この環境変化は非常に重要なビジネスチャンスとして捉えていました。

otomoの魅力であり特徴のひとつに、200種類以上から選べるツアープランが挙げられるかと思います。ツアープランは全て社員の皆さまが実際に現地へ足を運んで作成していると伺いましたが、時間やコストもかなりかかっているのではないでしょうか?

平塚:実は最初の構想ではガイドの紹介だけをサービスとして、ツアープランを用意することは考えていませんでした。しかし、トライアルのフィードバックや社内での検討を続けるなかで、「旅行者とガイドの紹介だけではなく、ツアープランを紹介した方がサービスのクオリティを保つことができる」と考えるようになりました。

ツアープランの作成についても、インターネット上の情報のみで良いのでは?という意見もありましたが、手間がかかっても自信をもってオススメできるものをつくろう!という方針のもと、全てのツアープランで実地調査を行うことにしました。

現在も日本各地でツアープランの作成を進めているため、常にメンバーの誰かしらが巡業に出ています。(笑)現地に足を運ぶと、概ね3週間程度はその地域に密着していますね。現地に足を運ぶことでしか分からない、その土地の魅力をツアープランに反映することを心掛けています。

ガイドの登録希望者はもちろん、サービスを利用した旅行者とも会っていると聞きました。どんな反応が返ってきますか?

平塚:2019年1月の正式リリースまで、何度もトライアルで無償のツアーを実施してサービスに関する検証を行ってきましたが、旅行者・ガイドともに非常に満足度が高く、「提供するサービスは悪くない。旅行者からお金をいただいて提供できるものだ。」と確信するようになりました。現在もこの検証は続けていますが、サービスを利用した9割以上の旅行者・ガイドともに「満足している」という回答をいただいています。

また、現在ガイドとして登録されている400名以上の方々はもちろん、ガイドの登録希望者とは説明会や面談などを通じて当社メンバーのいずれかが顔を合わせるようにしています。自分たちが自信をもって旅行者にサービスをオススメできるようになりますし、何より旅行者・ガイドともに安心してサービスを利用できるのではないか、と考えています。

ツアープランも同様ですが、品質に対するこだわりはこれからも大事にしていきたいと思っています。

otomoのWebサイト https://otomo-travel.com/

otomoのWebサイト https://otomo-travel.com/

お話しを聞いていると、順調に事業が立ち上がったのだな、と想像するのですが、何か困難な状況はご経験されましたか?

平塚:事業計画や提供するサービスのブラッシュアップは、私や北川が得意とする分野でもあったのですが、肝心の旅行者とガイドを繋ぐ仕組みや場所、つまりシステムやWEBページの構築については非常に苦戦しました。私たちにはエンジニアの伝手がなく、なかなか事業に参画してもらえる人材が見つからなかったのです。

最初は週1日副業として手伝ってくれる方が数名いましたが、CTO不在の時期が長く続きました。そんな時、友人を介して紹介してもらったのが末並です。最初はベトナムでオフショア開発の案件として受託してもらうところから関係が始まったのですが、「この会社を一緒に成長させていきませんか?」と私から誘いました。otomoとしては、まさに救世主のような存在です。彼がいなかったら今のようなサービスは作れていなかったかもしれません。

otomo株式会社取締役CTO末並晃氏

otomo株式会社取締役CTO末並晃氏

末並:私はもともとネットメディアの運営に携わっていて、その関係で1年半ほどベトナムで開発をしていました。平塚から話をもらったときは、ちょうどその仕事から離れるタイミングで、自分で起業することを考え始めたころでした。

otomoの事業計画には、当時既に「海外展開してアジアを盛り上げる」という内容が含まれており、私のやりたいこととも一致するな、と思いました。正式にotomoの一員になる決意をして、日本に戻ってきたのが2018年2月くらいですね。

otomoのサービスは世界展開を見据えている、というわけですね! 特に注目している市場はどのあたりでしょうか?

北川:訪日外国人向けのサービスをするにしても、今後海外展開をするにしても、中国という市場を無視するわけにはいきません。特に、世界No.1のサービスを目指すなら中国市場に挑戦することが必須です。しかし一方で、中国国内から日本のwebサイトにアクセスするとなると、さまざまな問題が起こり得ます。良質なUXを提供する環境を整えるためにも、サーバーの問題など解決しなければならないことはいくつもありました。

末並:解決方法としては、中国本土にサーバーを設置するのが一番ですが、そのためには現地法人が必要となります。なんとか「日本法人のままでサービスを提供できないか?」と考えた時、唯一の選択肢は香港にサーバーを置くことであり、そのサービスを提供しているのがAlibaba Cloudでした。

SBクラウドからは、香港リージョンを活用したサーバー構成を提案いただきました。香港のサーバーを利用することで中国本土からのネットワーク品質も安定し、UXも問題ないとの説明をいただいています。

移行が完了してから、中国からのアクセスがどうなるか、とても楽しみですね! では、最後に今後の展望についてお聞かせください。

平塚:今年の上半期には、日本の主要な地域でのツアーがひと通り提供できるようになる予定です。そうなると、次は海外展開です。「新たな旅のスタイルの創造を通じて、旅や地域社会を豊かにする」という私達が掲げる企業理念に照らし合わせて言うなら、なるべく早く創業の原点でもあるミャンマーやカンボジアなどの新興国でサービスを展開していきたい、と思っています。

ガイドとして活動することでより高い収入が得られる機会が生まれるでしょうし、少しでも豊かになれば子どもたちも今よりずっと学校に行きやすくなるはずです。これをきっかけに地域の経済が潤う可能性が生まれれば素晴らしいことだと思います。

私達は、そうやって旅行者に満足していただく体験をしてもらうだけでなく、ガイドや地域に経済的な豊かさをもたらす手助けをしていきたい、そう考えています。

 

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