日本-中国間ネットワーク攻略【後編】通信品質を向上させた事例とポイント(テックコラム)

Alibaba Cloudのネットワーク技術は、特に日中間のネットワーク環境構築において有効です。日本企業が中国進出する際の、現地ITインフラ調達から安定した通信環境、柔軟な運用方法などを可能にしています。

具体的なプロダクトとして挙げられるのが、Alibaba Cloudのバックボーンネットワークを利用した以下の5つのプロダクトです。

 ・リージョン間専用線ネットワーク「CEN(Cloud Enterprise Network)」
 ・物理接続サービス「Express Connect」
 ・セキュアなハイブリッドクラウドを構築する「VPN Gateway」
 ・グローバルIP加速化サービス「GA(Global Accelerator)
 ・ハードウェアルーター「SAG(Smart Access Gateway)」

今回はこれらのプロダクトを活用した、具体的なネットワーク構成実例をご紹介していきます。

概要

・Alibaba Cloudの安価かつ柔軟な利用が可能なプロダクト活用で、中国との様々な通信品質課題を解決できる
・社内の業務システム利用や、中国のユーザー向けのアプリ・Webサービスなど幅広い用途に利用されている
・既存のクラウド活動有無、拠点数、予算などに合わせて構成パターンが検討できる

 

 

通信品質向上で社内外のユーザー体験を改善


コラムの前編でご説明した通り、日中間ネットワークには

 ・通信環境が不安定
 ・Mbps単価が高額
 ・適正な帯域設定が難しい
 ・開通や増速に時間を要する

といった課題がありました。

「CEN」は、コンソール画面から数分で申し込みが可能かつ初期費用も不要な、国際専用線品質のネットワークサービス。1Mbpsあたり約1.5万円の低価格ながら月単位の速度変更が可能なため、スピーディかつ柔軟な運用が可能です。

まずはこのCENを活用した社外・社内の通信改善の事例をご紹介します。

中国向けアプリサービス配信

中国向けにアプリサービスを配信する企業様では、ユーザーのサービス利用時の通信安定性に課題がありました。従来の環境ではユーザーがアプリを利用する際に、2〜5%の確率で通信断が発生していたのです。

そこで、日中間ネットワークの安定を図るために「CEN」を導入したところ、通信遮断頻度が激減。 安定したサービスの提供により、アプリ利用者の満足度も向上。1〜2ヶ月という短期間だったにも関わらず、検証環境から本番環境までスムーズに構築ができました。

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中国向けアプリサービス配信

日本のグループウェアへ安定アクセス

中国に拠点を置く情報サービス企業様では、中国から日本のグループウェアにアクセスする際に通信の遅延が発生。業務に支障をきたしていました。

こちらは中国拠点の複数端末を「VPN Gateway」で接続。日中間は「CEN」で繋ぐことにより、安全で安定した通信環境を確保しました。 従来では15〜20%あったパケットロスがほぼ0となり、約80msecという安定した通信を実現。費用対効果も評価されており、月額約5万円で常時5、6人が快適にグループウェアを利用できる環境になっています。 

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中国から日本国内のグループウェアを利用

 ハイブリッド・マルチクラウドに対応


 クラウドインフラを活用するうえで、既存のオンプレミス環境と併用する「ハイブリッドクラウド」から、少しずつクラウドシフトしていくのが一般的です。この場合、日中間ネットワークにおいてはオンプレミスとクラウドの接続、または複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」においては異なるクラウド間のネットワーク接続が課題となります。

完全にクラウドシフトしていない企業であれば、物理接続サービスの「Express Connect」が解決策の一つ。日本のデータセンターからAlibaba Cloudのインフラを物理接続することができます。

一方、国内に小規模な拠点が各地にあり、閉域接続ではなくインターネット回線を利用したスモールスタートでAlibaba Cloudと接続するのであれば、「VPN Gateway」が推奨されます。「VPN Gateway」は閉域回線を新たに調達する必要がなく、既存のインターネット回線でIPsec接続またはSSL VPN接続が利用可能。また、拠点ルーターとの接続だけでなく、他社パブリッククラウドのVPN製品とも接続可能です。

これらのサービスを活用した構成事例をご紹介します。

マルチクラウドを使用したプロキシ環境で、中国国外へのメール送信を快適に

50,000人以上の従業員を抱える大手企業様でも、日中間のネットワーク環境に課題を持っていました。中国拠点から中国国外にメールを送信する際にメールが送信できなくなることがあったのです。

この課題を解決するため、すでに利用中だった他社のパブリッククラウドを含めたマルチクラウド構成でプロキシ環境を構築。これにより、安定したメールの送受信が可能になりました。

またWeb会議ツールの使用時にも、音声の遅延が解消され、業務をスムーズに進めていただくことが可能となりました。

 

 

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マルチクラウドを使用したプロキシ環境で、中国国外へのメール送信を快適に

 

ECやゲームサイトにおけるアクセス減少対策


 日本で管理しているECサイトやゲームサイトを中国で展開する際、課題となるのはオリジンサーバーへの距離です。国内と比べて距離が出てしまうため、国際インターネットであればレイテンシーやパケットロスを招いてしまいがち。これはユーザー満足の低下やアクセス数の減少の原因となります。

グローバルIP加速化サービス「GA」はAlibaba Cloudがグローバルに展開しているネットワークインフラと最寄りのアクセスポイントを結ぶサービス。特に中国におけるアクセスポイントは密度が濃いため、日中間の体感距離のギャップを埋めるのに役立つ手法です。

世界中のユーザーが、ノーストレスで通信可能に

「GA」が提供する低レイテンシ、高安定性ネットワークは特にゲームアプリなどに有効。ゲームサーバーを高速化させ、送信待ち時間の短縮が可能に。世界中のユーザーが途切れることなくプレイできるようになり、定着率の向上も期待できます。 デプロイや管理も非常にシンプル。迅速にサービスが提供できるほか、コンソールを使用して連携されたネットワークアクセスと管理を促進。開発者の負担を軽減します。

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Global Acceleratorを使って日中ネットワークを加速化

 

迅速な導入、設定、保守可能な通信機器


中国でチェーン展開する飲食業などは、急遽新しい拠点にネットワークを構築しなければならないケースもあります。ところが「有線の手配に時間がかかってしまう」、「現地ベンダーに頼らざるを得ない」、「スムーズな機器の交換ができない」といった課題が考えられます。

そこで一時的な回線の確保やバックアップとして幅広く活用されているのが、自分たちで導入から設定、保守が可能な「SAG(Smart Access Gateway)」です。

コンソール画面から購入し、送られてきたSAGの機器にインターネット回線を繋げるだけで、ゼロタッチプロビジョニング機能により、自動的にAlibaba Cloudと連携。Alibaba Cloudコンソールから設定変更やバージョンアップが可能な上、従来のCPEルーターのように現地ベンダーに運用を依頼する必要がなく、日本から管理できるのもメリットと言えます。4G SIMに対応しているため、ネットワーク構築までのリードタイムカバーやトラブル時のバックアップ回線としてもパフォーマンスを発揮するハードウェアです。

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Smart Access Gatewayを使って迅速に中国の拠点NWを展開

中国拠点展開がしやすい

運用がシンプルな「SAG」ですが、展開力と高可用性も併せ持っており、これまで以上に中国拠点の展開をサポートするデバイス言えるでしょう。Alibaba Cloudは中国に多数のアクセスポイントを配しており、低レイテンシーな通信を可能にしています。さらに「SAG」は1ヶ国につき最大500デバイスを展開することができます。 また「SAG」は、アクティブデバイスに障害が発生した場合、バックアップデバイスに自動切り替えされ、安全な企業活動を促進します。

 

日中間ネットワークはAlibaba Cloudで解決


巨大マーケット中国に注目する日本企業の多くは、日中間ネットワークのハードルに頭を抱えていました。調達、コスト、通信速度、安定性、複雑性、保守管理など様々な課題がありますが、Alibaba Cloudのネットワークはその課題一つひとつに対し、ユーザー目線を持った設計・仕様でサービス・製品を提供しています。

 

〈前編はこちら〉 

www.sbcloud.co.jp

 

〈SBクラウドの日中間ネットワークソリューションはこちら〉 

www.sbcloud.co.jp

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SBクラウド株式会社 技術部 ソリューションアーキテクト課

赤羽 啓

通信キャリアの伝送路構築からエンタープライズのLAN設計構築まで、ネットワークを中心としたインフラ経験を経て、2020年にSBクラウド入社。ソリューションアーキテクトとして、ネットワークプロダクトの技術検証、ソリューション開発を担当。

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SBクラウド株式会社 技術部 ソリューションアーキテクト課

浜田 ナレット

大手SIer企業の情報システム部門で、働き方改革に伴う職場のフリーアドレス化やリモートワークを可能にするシステム導入などを手掛け、2018年よりSBクラウドに入社。現在はソリューションアーキテクトとして、ネットワーク製品を使ったソリューション開発、Alibaba Cloudと他社製品の接続検証、技術的サポートを担当。タイ・バンコク出身。