ハイセンスが推進する「スマート街区(智慧街区)」とは【山谷剛史の中国から学ぶITトレンド】

海信網絡科技(Hisense TransTech)が展開する貴陽のスマート街区
貴陽のスマート街区(出典:環球網)

中国政府はスマートシティ(智慧城市)の次に、「スマート街区(智慧街区)」を普及させようとしています。それは中国政府が9月に発表した、ネットテクノロジーを活用した新しい業態・新しい様式による新型消費の発展を目指す政府文書「関于以新業態新模式引領新型消費加快発展的意見」にも現れています。

スマート街区とは何かというと、規模の小さなスマートシティです。ただ中国語では新しい概念として、別の言葉にしています。中国語での狭義のスマートシティとは、街単位で主に車の流れや人の流れを把握するもの。

一方、スマート街区とは、既にでているいくつかの事例を見ると、繁華街の人の流れを監視したり、標識や電柱のインフラをIoT化して管理したり、通行人に情報を提供したりするものです。

現在最も積極的にスマート街区ソリューションを提案しているのは、海信網絡科技(Hisense TransTech)です。海信(Hisense、ハイセンス)はテレビをはじめとした家電メーカーとして知られていますが、スマートインフラにも取り組んでいるのです。

スマートシティソリューションに力を入れる海信(Hisense、ハイセンス)
スマートシティソリューションに力を入れるハイセンス(出典:海信網絡科技)

IoT化するインフラは具体的に、大型情報端末、電柱、バス停、標識、ゴミ箱、マンホール、スプリンクラー、景観照明、街灯などが挙げられます。

これらのそれぞれに何かしらの異常が感知されたときに、その情報をスマート街区コントロールセンターに送り、スタッフを現場に向かわせます。

スマート街区コントロールセンターには、スマートシティのコントロールセンターのように、様々な機器や人の流れなどがリアルタイムにわかりやすく表示された大型モニターが設置されています。そこでは各種処理が自動化される一方で、スタッフも目視でチェックを行います。

海信網絡科技のソリューション(出典:海信網絡科技)
海信網絡科技のソリューション(出典:海信網絡科技)

たとえばゴミ箱であれば、ある程度ゴミが溜まったら、その情報がゴミ回収担当に伝わるわけです。スマートなゴミ箱に限らず、IoT機器に何かあればクラウドで自動処理し担当スタッフを派遣します。

また、標識をIoTディスプレイ化することで、必要な情報を表示させることができるようになります。中国は5G通信での運用を推進しているので、低遅延で情報をやりとりすることが可能なのです。

標識については、たとえば自動車向けには駐車場情報が表示されます。中国の都市部では、大病院やショッピングモールや観光地など、特定のエリアで車が集中して渋滞が発生することがよくあります。

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具体的には施設以外の駐車場の場所がわからず、右往左往しているうちに渋滞が起きてしまうのです。駐車場が見つかりにくい問題は、都市問題として認識されており、そのソリューションのひとつとしてスマートな標識が活躍するわけです。

大型情報端末とは、観光地や商業地の歩行者天国など歩行者が多く行き交う場所に、Wi-Fiのホットスポット・タッチパネルディスプレイ・ネットワークカメラ・スピーカーマイクなど様々な設備を備えたものです。

ディスプレイやカメラなどが取り付けられたスマートな電柱も、これにあたります。タッチパネルを操作することで、今いる商業地・観光地の買い物やグルメ、地域情報などの最新情報や、バス停の場所とバス路線のリアルタイム情報などを表示することができます。

中国のほとんどの都市では、地下鉄網がまだまだ十分に発達しておらず、人々はバス路線に依存しています。バスがどのバス停からいつ出発するかが表示されるのは、特にスマートフォンを使いこなせない人々には役立つことでしょう。

またこれら大型情報端末はボタンとスピーカーマイクとネットワークカメラを備えていて、緊急事態の際にはボタンを押してコントロールセンターと連絡することができるようになっているのです。

充電できる屋外情報端末(環球網より)
充電できる屋外情報端末(環球網より)

スマートな電柱の開発には、海信網絡科技以外の会社も取り組んでいます。たとえば武漢の歩行者天国「江漢路」では、スマートフォンのワイヤレスチャージャー付の電柱が登場。市民に無料の充電サービスを提供しました。

また杭州ではシェアバッテリーやシェア傘のスポット説部を内包しレンタルできるようにした電柱や、西湖という湖が有名な観光地であることから遊覧船の情報を確認することができる電柱が登場しました。

他にも中国各地で、続々とスマート電柱が登場しています。広州の歩行者天国「北京路」では、街区全体を5Gネットワークでカバーし自動巡回ロボットが街の様子をチェックしてくれます。5Gなので、データ量の多い高解像度の映像が低遅延でセンターに送信される仕組みです。商業地や観光地の5G化は進み、同じように変化していくと思われます。

このように中国では、電柱や標識やバス停などのIoT機器を普及させ、ネットワークカメラで街区を監視し、AIやビッグデータを活用し街区問題の解決を目指すとしています。たとえばそれは人の無駄をなくし、交通渋滞を減らし、環境汚染を改善するといったことです。

ネットワークカメラによる個人データ収集についての考え方は日本と中国で差がありますが、ディスプレイによる操作や表示や各種インフラのIoT化であれば、個人情報に触れることはありません。こうしたソリューションの導入を検討し、街づくりに役立ててはいかがでしょうか。

関連リンク

海信網絡科技(Hisense TransTech)

海信推出全国首个5G智慧街区 贵阳路标变身哆啦A梦(環球網の報道)

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筆者プロフィール

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山谷 剛史(やまや たけし)

1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。

主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など

公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/YamayaT