Alibaba Cloudのクラウドネイティブサービス ―激しいビジネス変化に対応し「継続・拡張」を可能に(テックコラム)

現代ビジネスにおいて、クラウドは非常に重要なITインフラとなっています。クラウドの利用を第一に検討して事業を展開する「クラウドファースト」という考えが普及してきました。さらに昨今では、クラウドのメリットを徹底的に活用する「クラウドネイティブ」が注目されています。
今回のコラムでは、Alibaba Cloud(アリババクラウド)が定義する「クラウドネイティブ」について詳しく紹介していきます。

 

概要

・Alibaba CloudはCNCFのプラチナメンバーとしてもクラウドネイティブ技術の発展に貢献してきた歴史があり、コンテナ技術をはじめ、特色のあるプロダクトが多数。
・例えば、様々なK8Sのクラスタタイプが柔軟に選択可能なACKや、サーバレスでGPUインスタンスも利用可能なECIなどがある。
・さらに豊富なマネージドサービスなどAlibaba Cloudのエコシステムの活用で、ビジネス環境の変化に対応するための迅速で柔軟なシステム基盤が構築できる。

 

 

定義とプラットフォーム紹介


 

Alibaba Cloud(アリババクラウド)におけるクラウドの定義は「サーバー、データベース、ストレージ、プラットフォーム、アプリケーションなどを含むインターネットを介したオンデマンドコンピューティングリソースの提供」です。必要な時に必要な分だけ利用できる従量課金制のため、コストの効率化につながります。

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〈Alibaba Cloudのクラウドネイティブサービス〉

サーバではCPUやメモリを細かく選択可能。ユーザーのニーズに合わせた、柔軟なインスタンスの選択枠があります。

データベースではMySQL、PostgreSQL、Oracleと互換性のあるリレーショナルデータベースとして「ApsaraDB for PolarDB」を自社開発。低コスト高パフォーマンスが実現しました。 さらに様々なDBシステムでマネージド対応していることも大きな特長で、
RDBだと、

MySQL / PostgreSQL / SQL Server / MariaDB

NoSQLだと、

Table Store(フルマネージド型NoSQL) / Redis / Memcache / MongoDB

さらにデータ分析などで用いられる分散DBでも、

HBase / Cassandra / Kudu

といったラインナップをサポートします。

ストレージではIaaSのブロックストレージとしてハイパフォーマンスで低レイテンシなCloud Disk、オブジェクストスレージとして画像、オーディオおよびビデオを含む、インターネット上の大量の非構造化データの保存用に設計されたOSS、NASとしてはNFS や SMB といった標準的なプロトコルをサポートしているNASなど、堅牢性と拡張性に優れたセキュアなストレージサービスを提供しています。

CNCFプラチナメンバーとして

2015年、コンテナ技術の発展やテクノロジー業界連携支援を目的としてCNCF(Cloud Native Computing Foundation)が設立されました。同プロジェクトには、クラウドネイティブを推奨する大手クラウド事業者やソフトウェア企業など、世界500以上の団体が参画。Alibaba Cloudもそのプラチナメンバーとしてクラウドネイティブ技術の進化に貢献しています。

 

クラウドネイティブに重要な技術


 

 クラウドネイティブにとっての重要な技術とは何でしょうか。CNCFでは「コンテナはスケーラブルで迅速なアプリケーション開発には欠かせない、クラウドネイティブを構成する重要な技術要素の1つ」と定義しており、クラウド時代においてコンテナ技術は必要不可欠となっています。

Alibaba Cloudのコンテナプロダクトは「Container Service for Kubernetes(ACK) 」。これはコンテナ化されたワークロードやサービスを宣言的に構成管理し、自動化するオープンソースプラットフォームKubernetesを使用したマネージドサービスです。

 

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〈Container Service for Kubernetes(ACK)全体像〉

複数から選択できるコンテナ

「Container Service for Kubernetes(ACK)」には5タイプのクラスターがあり、それぞれ特色を持っています。

ACKのタイプ別クラスタ構成
〈ACKのタイプ別クラスタ構成〉

1)専用クラスター(Dedicated Cluster)
マスターノードとワーカーノードが、IaaSのECSへ作成されます。インフラストラクチャをより細かく管理できるため、ユーザー自身で全てのクラスタを運用するケースで有効となります。

2)マネージドクラスター(Managed Cluster)
マスターノードをAlibaba Cloudが管理し、ワーカーノードをユーザー側で用途に合わせて柔軟に構成、管理します。マスターノードの管理が不要なため、より開発やオペレーションに集中できるタイプです。

3)サーバーレスクラスター(Serverless Cluster)
マスターノード、ワーカーノードの両方の管理をAlibaba Cloudが行います。このタイプでは、インフラストラクチャの管理が不要となる為、システム運用におけるメンテナンスコストを大幅に削減できるメリットがあります。

 

そして、プレビュー版として、「マネージドエッジクラスター」と「クラスター接続プロキシ」のクラスタータイプをリリースしました。

4)マネージドエッジクラスター(Managed Edge Cluster)
エッジコンピューティングシナリオに適用されるエッジ管理ソリューション異なる環境にあるサーバやIoTデバイス、Armなどのエッジノードを一元管理することで、各エッジへサービスを提供します。

5)クラスタ接続プロキシ(Cluster Connect Proxy)
「クラスタ接続プロキシ」は外部環境に構築されたKubernetesクラスタを統合管理するソリューション。マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境のKubernetesクラスタを統合管理し、各クラスタへアプリケーションをデプロイしてライフサイクルを管理することができます。

「マネージドエッジクラスター」と「クラスター接続プロキシ」は、マルチクラウド、ハイブリッドクラウドアーキテクチャをサポート。異なる環境下でのワークロードを分散利用することが可能となります。このように、複数のKubernetesのクラスタタイプを柔軟に選択できるのは珍しく、特にボトルネックとなるインフラストラクチャの違いを吸収し管理できるのはAlibaba Cloudならではと言えるでしょう。

スピーディーなアプリ開発

コンテナはアプリケーション開発に欠かせない技術です。Alibaba Cloudが提供する「Elastic Container Instance(ECI)」は、サーバーを管理することなく簡単にコンテナを利用することができます。サーバレスでありながらCPUやメモリを柔軟に選択でき、GPUを使ったインスタンスを利用できるのも強み。

一方、コンテナのイメージを保存する「Container Registry」はコンテナイメージのビルドやデプロイ、セキュリティスキャンなどを実施。「ECI」と「Container Registry」はクラウドネイティブなアプリケーションを展開する基盤となります。

サービスに必要なプラットフォームをクラウド側が提供、管理することで、ユーザーはアプリケーション開発に注力できます。Alibaba CloudはFaaS(Function as a Service)としてイベントドリブンなサーバレスプラットフォームの「Function Compute」や、PaaS(Platform as a Service)の「Web App Service」でアプリケーション実行に必要な環境を提供。運用負荷の軽減と安全性から、素早いデプロイを実現させています。

次世代技術を駆使したPolarDB

コンテナやPaaSに配備されたアプリケーションから利用できるクラウドネイティブ志向の次世代データベースが「ApsaraDB for PolarDB」です。これにより高可用性、スケーラブル、ハイパフォーマンスを備えたデータベースの構築が可能となります。 

PolerDBアーキテクチャ
〈PolerDBアーキテクチャ〉

「ApsaraDB for PolarDB」は短時間のスペック変更、クエリ実行中でもReadインスタンスが削除可能なスケーリング性能、冗長化専用インスタンスを用いた高速フェイルオーバーなどを実現させた次世代データベース。急激なトラフィック増やスパイクが発生する環境に対応しているため、ゲームアプリやウェブ、ストリーミング、eコマースサイトなど、必要なリソースが大きく変動する全てのサービスに適していると言えます。

 

Alibaba Cloudのビジネスメリット


 

Alibaba Cloudが提供しているのは、高い技術と知見から裏打ちされたクラウドネイティブ環境とエコシステムです。変化が激しい現代ビジネスの中で、迅速かつ柔軟なシステム基盤を構築することは、非常に心強いもの。

事業はどのような状況でも継続、拡張させなければなりません。Alibaba Cloudには、安定したリリースサイクルを生み出すためのメリットが多く盛り込まれているのです。

次回のコラムではAlibaba Cloudのクラウドネイティブにおける具体的なユースケースをご紹介します。

 

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牛嶋 雄哉

SBクラウド株式会社 技術部 ソリューションアーキテクト課 課長

牛嶋 雄哉

2019年からSBクラウドに参画。大手SI企業でのクラウド設計構築の経験を基に、Alibaba Cloudのプロダクトマネージャーとして幅広く活躍。米国の大学卒業で、英検1級を保持している他、技術資格も20種近く取得。

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SBクラウド株式会社 技術部 ソリューションアーキテクト課

有馬 茂人

インフラエンジニアとしてオンプレミス・プライベートクラウド・パブリッククラウド環境での構築運用に携わり、2018年にSBクラウドにジョイン。コンテナ・IaC等を活用したAlibaba Cloud でのスケーラブルなシステムの提案・ 導入支援を行なっています。