山谷剛史の中国ITニュースまとめ:アリババが産業インターネット「新製造」「犀牛智造」を発表/バイドゥの自動運転サービス

中国アジアITライター・山谷剛史さんが、中国国内で話題になったITニュースをピックアップする連載企画です。今回は、2020年9月~10月の、中国主要インターネットニュースについてまとめました。

7月~8月のニュースまとめはこちらをご覧ください。

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ファーウェイ、当面最後のフラッグシップマシン「Mate 40」シリーズをリリース/南京でチップ開発大学が開学

ファーウェイがハイシリコンのチップセット「Kylin 9000」を搭載したハイエンドスマートフォン「Mate 40」シリーズを発売した。

米国から同社への半導体の輸出規制が続けば、同社としては当面最後のハイエンドスマートフォンとなる。同社のハイエンドスマートフォンは同社を代表するだけでなく、中国ブランドを代表するハイエンドスマートフォンといえるが同社からしばらくは出ないことになる。

中国国内でもライバルのシャオミ、OPPO、vivoと比べてシェアは高く、特にハイエンドスマートフォンで人気があることから、今後最新スマートフォンを求める消費者は分散することになる。

チップ開発面での逆境の中、中国では自国でチップ開発を目指している。10月22日には、南京で中国初となるチップ開発人材育成を目指し、南京集成電路大学が開学した。

同大学によると、2018年末の時点でチップ産業の人材は46万人で32万人不足しているとのこと。毎年10万人の技術者の求人があるとしそれに応えようとするのと同時に、南京のチップ関連産業を育てようという狙いがある。

デジタル人民元のテストを開始、深センで5万人に配布

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出典:https://dy.163.com/article/FPDIH1N60530LRED.html

10月12日、中央銀行である中国人民銀行と深セン市はデジタル人民元のテスト運用として、抽選で5万人に紅包(金一封)200元を配布した。突然の配布であったが、5万人の枠に191万人が応募する事態に。

このデジタル人民元は同月18日までの期間限定で、中国4大銀行(中国銀行・中国工商銀行・中国農業銀行・中国建設银行)の銀行アプリなどを通じて店舗や地下鉄の自販機などで使うことができた。なお中国人民銀行によると、デジタル人民元の正式リリースは未定だという。

 

中古取引サイトを利用する若者が増加

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アリババの中古取引サービス「閑魚」

全国ネットのテレビ「中国中央電視台(CCTV)」は10月、「1990年代生まれ(=90后)である20代の中古サイト利用者が急増している」と報じた。たとえばアリババの中古取引プラットフォーム「閑魚」によると、3000万人が販売者として登録していて、そのうち6割が20代だという。

商品ジャンルについては、電気製品・家具・アパレルなど、多岐にわたって販売されている。中国の中古市場の市場規模は、2018年には7400億元で毎年3割近く市場規模が拡大していることから、2020年には1兆元市場になると見込まれているという。

中国の中古商品は、中高年にとっては不良品や盗品が売買される印象があり、進んで購入したがらない傾向にある。新しいネットサービスとして新しい世代に訴えることで、新しい市場ができて拡大していることが伺える。

同じく10月にはCCTVで、「サプリメントが売れていて市場規模は3300億元であり、購買層の主力は20代」とも報じられている。やはり、90后を中心とした新しい市場が急拡大しており、今後も注目したいところ。

バイドゥなど自動運転の商用サービスが進む

10月10日、北京の一部地域でバイドゥによる無人運転によるタクシー(ロボタクシー)の運用が開始された。同社は最も自動運転に力を入れており、国内外の自動運転でのベンチマーク評価は高い。また10月22日からは、蘇州で無人運転バスと無人運転タクシー「Momenta Go」による運転が行われるようになった。

中国の無人運転は「車路協同」として、自動運転車だけでなく道路脇のセンサーも自動運転車に情報を渡してよりよい運転を目指すインフラとして車と道路が一体となる仕組みづくりを進めている。また蘇州の無人運転タクシーも、車路協同型となっている。

つまり、試験走行エリアでインフラが出来上がっているのだ。中国各地で車路協同の無人運転のテストは行われていて、たとえば9月25日には、内陸四川省のトンネルを多く含む高速道路で、試運転の開始が報じられた。

内陸湖南省の省都である長沙では、ロボタクシーや自動運転バスの運用が新型コロナ後から積極的に行われている。長沙市の交通局長は、「3年内に全てのバスを自動運転化したい」とメディアに向けて語っていた。

自動運転の車は乗用車だけではなく、荷物を運ぶ商用車も続々と開発されている。特に目立ったところでは、9月17日のアリババのイベント「雲栖大会(Apsara Conference 2020)」で、同社の研究所「Damo Academy(達摩院 )」が開発した小型車両「小蛮驢(シャオマンリュー)」が発表されている。

テンセントがコンテンツ事業を強化

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テンセントのゲームライブ配信プラットフォーム「虎牙」

テンセントが、同社の強みであるコンテンツ周りを強化している。9月29日には、テンセントが中国第2の検索サービス「捜狗(Sogou)」を35億ドルで買収することを発表している。これは、テンセントが一定評価のある検索サービスを得ることを表している。

また10月12日には、ゲームライブ配信プラットフォーム大手の「虎牙」と「闘魚」が合併に合意した、と発表された。両社の筆頭株主であるテンセントが提案したもので、同社のゲームプラットフォームや、同社のeスポーツプラットフォーム「企鵝電競(Tencent Egame)」での活用がされると各社報道で分析されている。

ますますコンテンツを強化するテンセント。だが一方で、終了するサービスもある。9月28日、テンセントウェイボーのサービスが終了となった。2010年4月から運営されていたサービスだったが、10年間の歴史に幕を閉じる。

アリババ、産業インターネット「新製造」「犀牛智造」を発表

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アリババのスマート工場「犀牛智造」

アリババは9月、ニューリテール(新零售)に続く同社の標語として「新製造(中国語で新制造)」と、新製造のスマート工場である「犀牛智造」を発表した。新製造ではインターネットを活用して、小口注文を自動的に生産最適化して生産できるようになっている。

中国では、新型コロナの際にもマスクや防護服の生産で活躍した。犀牛智造の工場は、まず浙江省杭州市に、続いて安徽省宿州市に建設された。

その後の報道だが、11月11日のダブルイレブンより、注文から7日以内に生産するというオーダーメード体制を整えたほか、アパレルブランド「都市麗人」とは製造だけでなく、アリババの持つIPを含め提携したと報じられている。

中国インターネットユーザーは9億4000万人に

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都市部と農村部のインターネット普及率(CNNICより)

CNNIC(中国インターネット情報センター)から、2020年6月末までの中国インターネット利用データをまとめた事実上の中国公式統計「第46次中国互聯網絡発展状況統計報告」が発表された。これによると、中国のインターネットユーザーは9億4000万人で、普及率は67.0%。都市部の普及率は、76.4%となった。

新型コロナで利用者が伸びた各利用用途については、以下のようになる。

・EC:7億4939万人(ネット利用者の利用率は79.7%。以下同)
・キャッシュレス:8億500万人(85.7%)
・デリバリー:4億903万人(43.5%)
・オンライン教育:3億8060万人(40.5%)
・ライブストリーム:5億6230万人(59.8%)
・オンライン医療:2億7602万人(29.4%)
・リモートオフィス:1億9908万人(21.2%)

その他の詳細は:http://cnnic.cn/gywm/xwzx/rdxw/202009/t20200929_71255.htm

その他のニュース

・江蘇省蘇州でモラルをスコアリングする「文明コード」を新たに発表(9月6日)
・中国のネット文学作者数は1936万人、平均月収は5133元(9月6日)
・CCTVが、デリバリースタッフの厳しいデリバリー時間を指摘。企業は問題対応へ(9月16日)
・ビッグデータを使ったサイトを訪問するたびに値段がかわる「殺熟行為」が10月1日より禁止に
・中国国内の多くの観光地を無料か値引きを実施(中秋節・国慶節)
・今日頭条、ロゴがそっくりな食堂「今日油条」を提訴し話題に(10月19日)
・網絡交易監督管理方法(ドラフト版) 自動継続の場合は5日前までにはその表示が必要に(10月23日)
・中国版GPS「北斗」と5Gによる位置測定ネットワーク建設。cm単位で測定可能に。(10月24日)
・iPhoneは根強い人気。代理店がiPhone 12をECサイトで販売する動きをけん制(10月24日)
・CCTVのサイト「央視網」がニセサイトを権利侵害で提訴(10月24日)
・百度、ライブストリーミングのYYを買収(10月27日)

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筆者プロフィール

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山谷 剛史(やまや たけし)

1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。

主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など

公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/YamayaT