製造業におけるAI活用 ー導入ハードルを超えて効果を得るには?(テックコラム)

 

前回のコラムでは、AI技術導入を実現させる手段の一つである「機械学習」を活用するにあたっての課題とAlibaba Cloud の機械学習プラットフォーム「PAI(Platform of Artificial Intelligence)」について解説しました。 

今回は、AIを活用する業界として製造業界にフォーカスして具体的なソリューションを含めてご紹介します。

 

概要

製造業はその業務特性からAIとの相性が良く、国内の製造業ではまだまだAI導入による生産性向上の余地が残されている
SBクラウドはAI導入における2つのハードル超えるためのサービス・ソリューションを提供
製造業向け「故障予測」と「自動検品」のソリューションは、最短1ヶ月でカスタマイズされたAIによる結果を提供可能

 

なぜ「製造業にAI」なのか


どの企業も生産性の向上をテーマに掲げるなか、製造業でも収益性や成長性を改善するために、「AI」が着目されるようになって久しくなりました。

その背景には、GEの「ブリリアントファクトリー」をはじめ、製造業におけるAI・IoT活用によって劇的な成果が出始めていることがあります。

実際に日本企業でも、東証一部上場企業を中心とした企業群で、AI・IoTの導入状況と総資産利益率にはプラスの相関関係があるという総務省の調査結果が出ています。

また、AIが得意とするのは、データに基づき途切れなく作業することです。製造業では一定の品質を保って連続した作業を行うことが生産性や収益性に寄与するため、AIとの親和性が高い領域といえます。

 

製造業のAI活用における2つのハードル


しかしながら、AIの活用度合いは、中国は83%、ドイツ64%であるのに対し、日本の製造業はまだ32%という調査結果もあります。

こういった現状から、日本の製造業が世界に存在感を発揮し続けるために、AI技術による高度なデータの利活用が重要な要素と言われています。逆にいえば、日本の製造業のAI活用はまだまだ活用の余地が多く残されているということでもあります。

とはいえ、実際に様々なお客様の話を聞いていると、AIに対して、「知見がないこと」と「負担が大きいこと」の2つのハードルから、導入を躊躇している企業が非常に多いです。

そこで今回は、AI導入における技術選定と負担の最小化を主眼に、SBクラウドのサービス・ソリューションを含めて解説します。

 

技術選定はプロフェッショナルによるサポートを


1つ目の「知見がない」というハードルは、「どのような技術を採用するのが最適化わからない」という不安の裏返しとも言えます。

確かにAIは製造業の業務特性にフィットしている一方で、どういった技術・手法のAIを導入していくか選定することは非常に重要なポイントです。

たとえば、機械学習の主な手法として、「教師あり学習」、「教師なし学習」、「半教師あり学習」の3つがあります。これらはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあり、製造業に最適なのはどの手法なのでしょうか? 「故障予測」のシーンを例に考えてみましょう。

機械学習を利用したAIモデル(データのインプットとアウトプットの枠組み)の作成には、AIモデルが法則性を学習するための「教師データ」が必要です。前述の機械学習の手法は、この教師データの使い方などによって、それぞれ次のような特徴を持っています。

 

教師あり学習・教師なし学習・半教師あり学習
〈教師あり学習・教師なし学習・半教師あり学習〉

一般的には、AIモデルの作成においては「教師あり学習」が主流です。しかし、多くの日本の製造業は元々精度が高く異常発生の頻度が低いため、まとまった量の正常/異常の教師データを準備するのに年単位の時間が必要になってしまうことも珍しくありません。

そのため後半でご紹介するSBクラウドの設備の故障予測ソリューションでは、教師データがなくてもスタートできるように「教師なし学習」または「半教師あり学習」を用いたAIモデルを提供しています。

このようにAIの導入効果をより確実に得るためには、業務特性に合わせた技術選定が重要になるので、技術に知見のあるプロフェッショナルの力を借りるのが得策です。

SBクラウドのAIプロフェッショナルサービスでは、AI技術のプロフェッショナルによる技術選定にとどまらないサポートも提供しています。詳しくはサービスページをご覧ください。

 

導入時の負担を最小限にするSBクラウドのソリューション


2つ目のハードルである「導入時の負担の大きさ」も、実際にお客様から非常に多く聞かれる悩みです。そこでSBクラウドでは製造業のお客様向けに、導入時の負担を最小限に抑えた2つのAIソリューションを提供しています。

 

AIソリューション①:設備の故障予測

設備の故障予測の価値

まずは「設備の故障予測」のソリューションです。
製造業の重要な指標の一つである製造工程の「歩留り」の悪化を防ぐために、設備の故障を予測できることは大きな意義があります。

異常検知AIを用いて、センサデータから設備の正常・異常を予測し、ダッシュボード上に故障予測を表示することで早期に異常を検知します。検知を早めることでダウンタイムの削減して歩留りの悪化を防ぐだけでなく、確認作業の負荷低減にも繋がります。

異常検知による故障予測
〈異常検知による故障予測〉

設備の故障予測の導入における課題

しかし設備の故障予測には、過去の故障データのラベルづけ(分類)などを行っていないために、AI分析に適した形のデータがない、正常・異常のラベルづけが行われておらず精度がでにくい、といった課題が存在します。結果、誤報が多発して、かえって故障対応の効率が悪くなることも珍しくありません。

そこでSBクラウドの設備の故障予測ソリューションでは、前述の通り「教師なし学習」・「半教師あり学習」を用いて、故障時の異常データが存在しない、または少量の場合でも導入を可能にしています。

また、納期についても最短でデータ受領から1か月という短期間で、GUI画面とあわせて提供が可能です。

ダッシュボード画面サンプル
〈ダッシュボード画面のサンプル〉
異常検知の例
〈異常検知の例〉

 

AIソリューション②:自動検品

自動検品の価値

続いては、「自動検品」のソリューションです。
検品は不良流出を発生させないために重要な工程ですが、一方で人の特性として細かい作業や同じ作業の繰り返しは疲労しやすいため、品質の悪化を招きやすいというジレンマがあります。このようなシーンでこそAIの出番。判断基準を一定に保ちながら途切れなく作業をする検品作業は、AIが最も得意とする領域です。

本ソリューションは、製品の画像データから正常/異常をAIが判定し、ダッシュボードに判定状況を表示します。AIは24時間、疲労することなく一定の品質で検品を行うことが可能であり、従業員の負荷低減に繋がります。

また、繁忙期の人員不足や閑散期の人員過剰など時期によって必要な人員が流動的なビジネスにおいても、そのような雇用リスクが発生しないのがAIの利点といえます。

自動検品の導入における課題

しかし自動検品においても従来からAI導入における課題があります。

データ整備が不十分で十分な精度が得られないことや、異常の種別のカテゴリー分けができずに単純な正常/異常の検知のみにとどまってしまう、といったものです。

SBクラウドのソリューションではそのような課題を解決します。

自動検品ソリューションの判定メカニズム
〈自動検品ソリューションの判定メカニズム〉

少量データであっても検知可能であるほか、独自開発の判定メカニズムや未知への柔軟性を有していることにより、異常度合いのプロットや未知の異常タイプへの示唆を得ることも可能です。更に、異常・正常の二極の判別方法だけでなく、どのような異常だったのか複数のカテゴリ分類で検知の実現も可能です。

自動検品ソリューションのコア技術
〈自動検品ソリューションのコア技術〉

 

高度な技術による自動検品の本ソリューションですが、導入の負担も最小限に設計されています。最短でデータ準備から1か月という短期間で、個社ごとにカスタマイズされたAIモデルによって予測された結果をご提供できます。

 

製造業でのDXを推進するために


国際的に産業構造が変化する中、日本の製造業においてもAI活用はますます重要になります。とはいえ導入には様々なハードルがあり、まだまだ国内での活用度合いは低いと言われていますが、今回ご紹介した「設備の故障予測」と「自動検品」のソリューションは短期間・低負担で導入が可能です。

SBクラウドではお客様のAI活用の第一歩からサポートし、導入のハードルを一つ一つクリアするお手伝いをしています。もしご興味を持っていただけましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

 

関連リンク

 

Yusuke Yamada

SBクラウド株式会社 技術部 AIエンジニアリング課 課長

山田 佑輔

大学時代から画像認識技術を研究。SIerや国産パブリッククラウドサービス事業者にて、設計・構築・プリセールス・サポート・新規サービス企画など幅広く経験し、インフラ歴は14年。
2018年にSBクラウドに参画し、AIチームを立ち上げ。以降、多くの企業へのAI導入プロジェクトを主導。