アリババの盒馬村が拡大中/小米の雷軍氏がライブコマース出演(山谷剛史の中国ITニュースピックアップ:2020年7月~8月)

中国アジアITライター・山谷剛史さんが、中国国内で話題になったITニュースをピックアップする連載企画です。今回は、2020年7月~8月の、中国主要インターネットニュースについてまとめました。

この期間は、米国やインドによるバイトダンスのTikTokをはじめとした中国各種アプリの利用禁止・利用中止が話題になり、中国のIT企業が苦境に立たされたニュースが目立った一方で前向きな話題も多数ありました。

 

中国政府、アフターコロナで社会のスマート化をさらに後押し

中国政府国家発展和改革委員会(発改委)は、アフターコロナにおけるインターネットの産業への積極活用(インターネットプラス「互聯網+」)についてまとめた「関于支持新業態新模式健康発展 激活消費市場帯動拡大就業的意見」を発表した。内容は以下の通り。

・教育環境のオンラインとオフライン教育の融合を強化する
・インターネット医療、リモート診療を強化する
・リモートワーク環境発展を奨励する。印鑑やサインや契約書などをデジタル化する
・企業と政府が協力しスマートシティを強化する
・バーチャル産業園構築を構築し、産業チェーンを現代化する
・企業を支援しネットなどによる副業など新たな創業を奨励する
・オンライントレーニングやスタッフシェアサービスなど労働環境を充実させる
・新しい旅行や外出やデリバリーなどスマート化を奨励する
・政府のオープンソース化を進める

このように新型コロナ感染拡大時に活用されたテクノロジーが、アフターコロナから一層ブラッシュアップされることになる。

 

アリババの盒馬村が中国全土に続々と登場

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アリババのスマート農業基地「盒馬村」

アリババ発のニューリテールスーパーとして知られる「盒馬鮮生」などに安全安心の生鮮食品を供給する「盒馬村」が増えている。盒馬村では、ITを活用した最先端の農業をモデル基地で行うことが特徴。一例として、上海市崇明でのドローンやセンサー類などIoT機器を巡らせた梨園が挙げられる。7月には重慶市石柱県で中国初の湖沼を活用した水上盒馬村を、8月には浙江省衢州市に中国最大の盒馬村を作ることが発表された。今後もアリババが、スマート農業のモデル農園を次々と作っていくだろう。

 

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アリペイ、犬や猫などの鼻紋認証技術をリリース

アリババ系金融サービス「アントグループ」が犬の鼻紋認証技術をリリースした。人間の指紋同様に、見た目がそっくりな犬でも見分けることができる。これを保険会社「衆安保険」などのペット保険に適応させている。「今後、政府の要求があれば犬の電子身分証として活用するなど、社会のニーズに合わせてより広く活用できるようにデータを積み重ね研究を重ねたい」と、アントグループの担当者は語った。

 

小米(Xiaomi)トップの雷軍氏が同社10周年を記念しライブコマースに出演

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小米十周年を記念したライブコマースはCEO雷軍氏のセールで大成功

スマートフォンやスマート製品で知られる小米(Xiaomi)が10周年となった。これを記念しCEOの雷軍氏が抖音(ドウイン、中国向けTikTok)で自ら、近年急激に普及するライブコマース「Xiaomi 10」や「Redmi K30」などの商品の販売を行った。著名な企業のトップが販売するとあって注目され、5053万人が視聴し、注文数57万件、売上額にしてトータルで2億1000万元を売り上げた。また10周年記念では同社は透明なテレビが発表し話題となったが、それが高価ながら数秒で売り切れとなった。

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小米10周年記念で発表された透明テレビ

 

ビリビリ、11のゲームタイトル投入でゲーム事業に本格参入

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ビリビリで発表された新規ゲームタイトル

ビリビリは7月31日、11の新作ゲームタイトルを発表した。うち2タイトルがPlayStation4とPC向け、9タイトルがスマートフォン向けとなる。日本が関係しているものではKLabとKADOKAWAによる「ラピスリライツ~この世界のアイドルは魔法が使える~」が配信される。スマートフォンタイトルはいずれも8月から9月にテスト版のサービスが開始される。日本のネットカルチャーで動画を中心に発信し、ゲームも出してきた同社だが、ゲーム事業を強化してきた感がある。

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5Gユーザーが1億人を突破。対応機器での運用が進む一方、法整備も進める

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5Gスマホが充実してきた

中国の5Gユーザーが上半期には1億人を超えていた。中国3大キャリアの中国移動(ChinaMobile)、中国聯通(ChinaUnicom)、中国電信(ChinaTelecom)それぞれが発表した中期業績によると、5G加入者数は中国移動で7,020万人、中国電信で3,784万人。中国聯通は非公表ではあるが、合計して1億人を突破した。また基地局数は約40万カ所だという。

一方で端末数については、人民日報の報道によれば、スマートフォンの出荷台数ではまだ5G対応機種の出荷台数は、4G対応機種には至らないものの、1~7月までの5Gスマートフォンの出荷台数は7,750万台(全体の44.2%)、5G機種数は119機種(46.5%)とマイナーチェンジや細かなスペックの違う機種も含めて多数の機種が発売された。5G利用が拡大する中で、7~8月においても5Gを活用した、海難事故防止用ドローン監視システムや、無人鉱山や、無人農場など、様々なソリューションのニュースが報じられている。

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5G無人鉱山

また中国政府工業和信息化部(工信部)は、5G時代のIoTやクラウドコンピューティングを含めたデータセキュリティ標準を制定すべく「電信和互聯網工業数据安全標準体系建設指南(征求意見稿)」を発表した。2021年には最初のデータセキュリティ標準の運用が開始され、2023年には完成させるとしている。

 

ご飯を残さずに食べる「光盤行動」がネットに波及

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体重を測りカロリーから食事を決める食堂が登場

8月11日に、中国政府は食事を余さず食べて浪費しない「光盤行動」を発表した。これにより動画サイトで大食いをウリにしていた配信者は大食いができなくなり、落語の一幕のようにエア大食いする動画が続出した。また食堂でも余らせないよう、余らせたら罰金などの仕組みを導入した。変わったところでは、先にスマート体重計で体重を測ってその体重から摂取カロリーを計算し、食事を制限付きでオーダーできる意欲的な食堂が登場している。

 

■イベントのお知らせ

9月25日に中国のAI・IoTをテーマにしたセミナーを開催します。


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筆者プロフィール

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山谷 剛史(やまや たけし)

1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。

主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など

公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/YamayaT