暗算学習アプリ「そろタッチ」が中国進出時に「Global Accelerator(GA)」で安定したコンテンツ配信を実現(株式会社Digika)

暗算学習アプリ「そろタッチ」が中国進出時に「Global Accelerator(GA)」で安定したコンテンツ配信を実現(株式会社Digika)
株式会社Digikaが提供する暗算学習アプリ「そろタッチ」

世界の暗算大会の上位者はそろばんの珠を頭の中に思い浮かべて計算している――その事実に気づいた株式会社Digikaでは、保護者、教室スタッフが一体となって、ママ目線で子どもの暗算力を伸ばすことだけに特化し、試行錯誤を重ね、iPadを利用してイメージ暗算の能力を身につけるアプリケーションを開発しました。それがそろばんの仕組みを応用して作られた暗算学習アプリ「そろタッチ」です。

現在、「そろタッチ」は日本国内だけでなく世界にも進出し、アメリカ、中国、ベトナム、マレーシアなど7カ国120教室で展開されています。この「そろタッチ」が中国に進出した際に採用したのがAlibaba Cloudの国際専用線サービス「Global Accelerator(GA)」でした。そこで今回は、同社代表取締役社長の橋本恭伸氏と、エンジニアの太田拓馬氏に、採用の理由や効果について、詳しく聞いてみました。

お客様プロフィール

橋本恭伸 氏

株式会社Digika
代表取締役社長
橋本恭伸 氏

太田拓馬 氏

株式会社Digika
エンジニア
太田拓馬 氏

「努力をすれば報われる」という自信をつけてもらいたい

――御社が開発・販売している暗算学習アプリ「そろタッチ」は中国をはじめグローバルに展開されています。まずは「そろタッチ」の製品概要について教えてください。

橋本 「そろタッチ」はiPadを利用した新しいそろばん式暗算の学習法で、私たちが「イメージ暗算」と呼んでいるそろばんが手元になくても、頭のなかでそろばんの珠をイメージすることで、暗算ができる能力を身につけることができるアプリケーションです。

そろばんアプリはさまざまなものが出ていますが、一般的なアプリは、珠が上下に動くそろばんと同じ感覚のUI/UXでつくられています。一方、そろタッチは他とは全く異なる発想でつくられていて、珠をタッチすると色がつくオンオフ式です。

さらに色がつかない「暗算モード」(特許取得済)があり、このモードで練習を繰り返すことで、手元にそろばんがなくても暗算できるようになる「イメージ暗算」の能力が身につきます。

――確かにアプリを見ると、私たちが知っているそろばんとは異なる独特のUIですね。そもそも、なぜ御社はそろばんアプリを開発しようと考えたのでしょうか?

橋本 当社の創業者・会長である山内は以前、そろばん教室を開いていました。ただ、当時のそろばん教室では課題を抱えていたのです。それこそがそろばんが手元にないと暗算ができない、つまり「イメージ暗算ができるようにならない」というものでした。世界に目を向けると、世界暗算オリンピックや、世界最大手のそろばん教室チェーンのUCMASの暗算大会も、全員が頭の中で珠をイメージして計算しているんですね。

具体的なデータで説明すると、以前のそろばん教室時代には、上級のイメージ暗算ができるようになった生徒は4年間で全体の10%でした。つまり、9割の生徒はそろばんを使って計算はできるけれど、暗算は身につかなかったんです。私たちは指導が難しいイメージ暗算の習得をITを駆使して克服できるのではと考え、そろタッチの開発をスタートしました。

結論を先に言ってしまいますが、開発後にそろタッチで学んだ生徒では20カ月で全体の62%がイメージ暗算できるようになり、大幅に学習効果を出せるようになりました。

――そろタッチを開発したことで、生徒の皆さんは飛躍的にイメージ暗算の力をつけることができるようになったんですね。それだけの学習効果をあげるアプリケーションは、どのようにして開発が行われたのでしょうか?

橋本 イメージ暗算ができるそろばん上級者や生徒たちに頭の中にどう見えているのかを細かくきいて、紙やテンキーや、いろいろな素材で作ったものを試してもらい、多くの試行錯誤を繰り返した結果、そろばんのような上下動ではなく、オンオフ式のUIにたどりつきました。

UIはかなりこだわっていて、開発過程では当社の教室に通っている生徒と保護者、教室が一体となり、子どもの意見、感覚を一番に取り入れています。たとえば、そろタッチの珠の形や色、大きさ、タッチ音、オンオフの色の消え方まで、子どもや保護者に意見を聞いて何度も調整しています。教室と開発現場がすぐ近くにあるため、エンジニア自身もアプリに触れる子供たちを実際にみて、開発していきました。

UIだけでなく、コンテンツの開発も重要です。2年以内で62%の子どもにイメージ暗算の力を身につけられたのは「データの力」も大きく貢献しています。我々のサーバーには生徒たちの正解数などのデータが常時飛んできて、学習履歴のデータを蓄積しています。それを東京大学など、複数の大学の先生方とともに共同研究を行い、生徒に合わせた最適な問題を出すなど、学習コンテンツの開発や改善に役立てているのです。

――大学との共同研究という話を聞くと、御社は「そろばんアプリの開発・販売」の枠を超えた事業理念を感じます。

橋本 私たちは子どもの計算能力をただ伸ばそうとしているのではなく、数字に対する自信を獲得して、学びの土台づくりをしたいと考えています。

現在はSTEM教育(Science, Technology, Engineering and Mathematics)に注目が集まっていますが、その土台となるのは「計算」です。基本の四則演算の計算を飛ばして、図形や証明問題などを解くことはできません。だからこそ我々は教育の入り口として計算が非常に重要だと考えています。

数字は科学の言語であり、世界唯一の共通語です。ほとんどの保護者は、数字に対してアレルギーのない子どもに育てたいと思っています。私たちは幼少期に楽しく計算能力を開発することを手段に、子どもたちが数字に対する自信を獲得し、さらに「経験や努力によって自分は成長できるという考え方」であるGrowth Mindsetを得て、無限の可能性を引き出したいと考えています。

――2017年にはeラーニング大賞「最優秀賞」受賞、経産省・JETRO の「未来の教室」海外展開支援等事業に採択されるなど、さまざまな評価を得ています。そろタッチのどこがそれだけ評価されていると考えていますか?

橋本 私たちが大切にしているのは、学習体験であるラーニングエクスペリエンス、学ぶ楽しさだけではありません。それは当たり前に備えているうえで、ラーニングアウトカム、学習効果を目に見える形で出していくことを重視しています。外部から評価をいただいているのも、ひとえに学習効果を出せているところだと考えています。何よりもすごいのは子供達の持つ可能性ですが。

その学習効果を証明するものの一つが複数の大学の先生方と共同研究して、国際カンファレンスでも発表している研究論文です。

www.value-press.com

「学習効果がアップした」と発表すると、「今までのそろばん塾よりもスパルタ指導していたんじゃないか」と言われることもあるのですが、当社はそれを科学的に研究して、学習効率を証明して、発表しています。生徒の正解数なども日々、当社のホームページにアップしています。そういうところが信頼に繋がり、評価を得られたのだと思います。

Alibaba Cloudを導入したことで0から100ぐらいのインパクトがあった

――そろタッチの海外展開の状況について教えてください。

橋本 2017年末に香港とニューヨークで教室を開催したのを皮切りに、現在は、中国、ベトナム、マレーシアなど、7カ国で120教室を展開しています。

当社のビジネスモデルについて少し説明すると、「教室生」と「ネット生」の2つのパターンがあります。ネット生はそろタッチのアプリを自分のiPadにインストールして、自宅で好きな時間に好きなだけ学習します。教室生はそれに加えて、週に1回1時間だけ教室に来て、他の友達と一緒にゲームをプレイしたり、競争したりします。学習効果が高いのは圧倒的に教室生なので、今後も各国に教室を増やしていきたいと思っています。

――教室はどのように展開しているんですか? 全て直営ですか?

橋本 直営もいくつかありますが、大半は教育企業とパートナー契約を結び、教室を運営してもらっています。BtoBtoCですね。

教室には生徒のモチベーションをアップするファシリテーターを用意してもらうのですが、モチベーションアップが役割なので、そろばんのことを知らなくても大丈夫です。そのため、水泳教室や英語教室など、さまざまな場所でそろタッチの教室が展開されています。

中国でもこのパートナーを増やしていきたいと考えて、SBクラウドさんに声をかけました。

――中国進出の際にSBクラウドへお声がけいただいた経緯を教えてください。

太田 日本やグローバルのシステムは他社のクラウドを活用しているため、最初は同じクラウドのサービスを使えるかどうかも検討しました。でも中国のITインフラは独自のエコシステムで動いているところがあるため、そのサービスで十分か不明確な要素がありました。

橋本 中国向けのクラウドを考えたときに、安定性はもちろんのこと、将来のことを考えてスケーラビリティも重視しておりました。私は前職のキャリアがIT分野で、eコマースにも関わっていたので、アリババグループの技術力などは注目しておりましたので、Alibaba Cloudだったら信頼できるなと思いました。

また、僕らは現地のパートナーに教室運営を依頼するビジネスモデルのため、展開地域は今後広く拡大していく可能性もあります。中国国内は地域によってネットワーク環境が大きく異なるという話も聞いていましたが、SBクラウドさんに話を聞いたところ「Alibaba Cloudは中国国内に多数のリージョンがあるため、安定したサービスを利用できる」と聞いて、そこも安心できたのでお願いしました。

――現在、使っているプロダクトは何ですか?

太田 メインで利用しているのは「Global Accelerator(GA)(https://www.sbcloud.co.jp/entry/sol/network/ga)」です。中国本土の外にある動画などのコンテンツサーバーへ円滑な通信を行うために利用しています。そのほかにはElastic Compute Service(ECS)やServer Load Balancer(SLB)なども利用しています。

(国際専用線サービス「Global Accelerator(GA)」)

(国際専用線サービス「Global Accelerator(GA)」)

当初、SBクラウドさんからはCloud Enterprise Network(CEN)を利用した構成など複数のパターンを提案いただきましたが、当社の利用方法やコストなどを基準に判断し、GAの利用を決定しました。

決定後は現地とテストしながら1カ月ぐらいで構築を進めました。最初のテスト段階で動画がスムーズに見られないという報告がありましたが、設定の問題で、調整後はスムーズに視聴できるようになりました。基本的にトラブルはなく、現在も問題なく進行しています。

――導入効果はどのように実感されていますか?

橋本 Alibaba Cloudの製品を導入する前にも少しの期間、中国で教室を運営していたのですがVPN接続ということもあり「動画の再生が遅い」と言われることが頻繁に起きていました。そのため、当初は動画のサイズを小さくするなど、小手先の方法でしのいでいたんです。

太田 それこそGA導入前は動画教材がほぼ観られず、授業にならないという状態でしたね。GAを入れたことで0が100になったぐらいの大きなインパクトがあります。

――太田さんはエンジニアとして実際に現場でAlibaba Cloudの製品を利用してみて、他社クラウドと比較して、どのように評価されますか?

太田 ソリューションとして中国向けのものITインフラが十分に用意されている印象を受けたのはAlibaba Cloudだけでした。対応も柔軟で非常に助かりました。

サポートについては、営業の木戸さんをはじめとしたSBクラウドの方からのレスポンスがとにかく早くて助かりました。細かい製品の使い方だけでなく、当社のシステム全体の構成をふまえて丁寧にご回答いただいたことに感謝しております。特にSBクラウドさんは中国国内の事情に精通しているので、最適なネットワーク構成等も的確にご提案いただきました。

また、テクニカルサポートサービス(https://www.sbcloud.co.jp/service/about/ts/)も利用しており、構築時には頻繁に質問をさせていただきました。Alibaba Cloudのドキュメントセンターに載ってない方法なども教えていただくなど、丁寧な対応だったので非常に助かりました。

――ありがとうございました。最後に、もしもお知り合いのスタートアップにSBクラウドを推薦するとしたら、どんなところでしょうか?

太田 中国は固有の事情があるため、当社の環境では中国展開するのであればAlibaba Cloud一択でした。また、SBクラウドはサポート体制が信頼できるので、日本語のサポートがほしいのならSBクラウドにお願いすることをおすすめします。中国はインフラの環境も不安定で、情報も何を信じたらいいかよくわからない状況のなかで、木戸さんのような信頼できる方にお会いできたのはありがたいことでしたね。

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www.sbcloud.co.jp

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