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自動運転車やドローンを物資輸送に活用した中国の新型コロナ感染対策



新型コロナウイルスが広東省の広州市や仏山市の一部で確認されてから、中国はハイテク対策を行ったと報じられています。新型コロナウイルスが中国国内で武漢を中心に最初に広がったのは、2020年2月。この時に「AIによるレントゲン写真高速分析」「ドローンによる配送」「急遽建設した仮設の対策病院における5Gを活用した会議システム」「ロボットによる消毒システム」「工場をスマート化しマスクの大量製造に対応」「スマートシティと紐づけた健康コード」など、多数のITを活用した対策が行われました。

現在中国で普及している「オンライン学習」「生鮮EC」「ライブコマース」も、2020年のコロナ禍を機に利用者が急増しました。あれから1年、広東省で感染者がぽつぽつとみられた5月末から6月にかけて、新たなITを活用した対策が導入されました。その中でもとくに活躍したのが、自動運転車です。

物資を運ぶ文遠知行の自動運転車(出典:網易)
物資を運ぶ文遠知行の自動運転車(出典:網易)

感染者がいるリスクの高い地域が封鎖されたことで、街では人の移動が制限されました。そこでリスク地域とそうでない地域を結ぶために、広州市政府は6月3日に自動運転車運用を決定。翌6月4日には広州市の交通部門と公安部門などが多数の自動運転車企業と協力し、自動運転車で正しく運ぶためのデータを採取。6月6日から運用を開始しました。

ここで、いくつか自動運転車企業が物資を配送した事例を紹介します。例えば広州を本社とする有力な自動運転車企業「文遠知行(WeRide)」は、広州でもともと同社製品によるロボタクシーを運営していたこともあり、無人運転車を活用して生活用品や食品や医療物資などを配送しました。

また自動運転プロジェクトApolloで最も経験を積んでいる百度(Baidu)も、バスやトラック型など5種類の自動運転車を用意。自動運転の小馬智行(PONY)も50数台の自動運転車を提供し、物資を運びました。ほかにも京東や美団が、自動運転車で物資を運んだと報じられています。

また一部のマンションでは、部屋まで物資を運ぶロボットが用意されました。広東省佛山でロボットレストランを運営している碧桂園では、レストランでも活躍するロボット「蚕豆」を派遣し、マンションの下からエレベーターに乗って目的の部屋まで移動し物資を届けました。

各部屋に物資を送る碧佳園のロボット(出典:碧佳園)

各部屋に物資を送る碧佳園のロボット(出典:碧佳園)

移動といえば、去年のコロナ禍同様にドローンが活躍しました。老人が持病の薬を切らし、緊急の配送が必要になるという状況が発生したことがあり、大手配送の順豊が同社のドローン業務スタッフを活用して、PCR検査を行っている老人のところに送って対処したとのこと。

他にも、高層マンションの住民に対しドローンで新型コロナウイルス感染防止知識について呼びかけたり、取得したPCR検査のサンプルをドローンを使って高速でチェックを行う実験室に運搬したり、ということにも活用されました。

また、多数の住民に対して一斉にPCR検査を何度も行いました。これは徹底的に感染者を見つけ出し、感染者に治療を行って拡散防止を実現するためです。2020年の時点では手探りだったのですが、5月6月には新たな機器を開発導入し、一斉のPCR検査をスムーズなものにしています。

医学検査を専門とする「金域医学」は、トレーラーサイズでPCR検査の各種設備を揃えた移動検査室「猟鷹号」を、リスク地域や空港や港湾に派遣しました。また広州体育館など広い土地があるところにPCR検査用のテントと猟鷹号を複数設置、短期間に広州市で計2,800万回近くのPCR検査を実施しました。

体育館に展開された猟鷹号の実験室(出典:網易)
体育館に展開された猟鷹号の実験室(出典:網易)

ところで、PCR検査を経て「問題ないエリア」と判断されると、スマートシティと連携して、AlipayやWeChatで使えるQRコード「健康コード」が赤色や黄色から緑色になります。

健康コードは駅などで見せることで列車への乗車が可能になるのですが、老人はスマートフォンを活用するのが難しいのが現実問題としてあります。そこでもともと利用していたチップ付の身分証カードと紐づけ、身分証を機器にかざすだけでスマートフォンアプリを見せずに担当職員が健康コードをチェックすることができる仕組みに変わりました。

ちなみにワクチン接種ですが、接種すると健康コードの枠の色が金色に変わるなどの変化で、接種証明ができるようになりました。中国の広東省の感染症対策を見る限り、1年前は手探りの対応だったのが随分と慣れたものになってきており、政府と民間の連携による対処もスムーズになっているようです。

すべての封鎖されたリスク地域の人々が恩恵を受けられたわけではないですが、一定の活躍はしたといえるでしょう。それ以上に、緊急時にはその最新状況が報じられる中国において、大きな企業広告の効果があったと言われています。

 

参考リンク

網易「广州科技赋能抗疫:日“亮码”1亿次、开辟“无人”系列」
碧佳園のプレスリリース

 

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筆者プロフィール

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山谷 剛史(やまや たけし)

1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。

主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など

公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/Yamaya