【中国製造DX事例】Alibaba Cloudと提携した啓蒙玩具の「産業インターネット」導入効果

啓蒙玩具の商品ラインアップ

啓蒙玩具の商品ラインアップ( http://www.qmjm.com/

中国では現在、レゴの互換ブロックが人気です。レゴの特許自体はすでに切れていることもあり、中国の多数のメーカーから互換製品が製造・発売されています。

最近では様々な世界観がうまく表現できているかが重視されるようになったことから、矢継ぎ早に様々なコンセプトの商品がリリースされているのです。ブロックは気軽に購入でき、特に幼児に人気。おもちゃ屋やオンラインショップをのぞいてみると、実に多種多様なコンセプトのブロックが発売されていることがわかります。

広東省汕頭(スワトウ)にある「啓蒙玩具(広東啓夢玩具実業、enlighten)」は、レゴ互換製品の設計、製造から販売まで行う有力な企業の1社です。20数シリーズ、300アイテムのラインアップを擁し、中国だけでなく中国国外にも輸出しています。

2019年には人気映画『ナタ 魔童降臨』のブロックを発売し、11月11日の天猫(Tmall)のECイベント「天猫ダブルイレブン(双11)」では、ナタグッズ販売店の中でもトップセールスを記録しました。

同社がある汕頭は、東西に長い広東省の東に位置する、おもちゃ産業や文具産業が活発な地域です。その汕頭の中でも澄海という地域は1980年代より大規模な玩具産業クラスターを形成していて、玩具の設計、金型製作、材料、機械設備、製品の組み立て、印刷と包装、輸送、貿易、関連ビジネスサービスの企業がそれぞれ揃っています。

澄海には、プラスチック素材を熱で溶かして金型に流し込んで成形する「射出成形機」を3000社が計5万台近く所有していると報じられており、おもちゃ製品の開発は汕頭だけでも行える状態です。深センが電子製品の開発が容易にできる地域であることは有名ですが、それの玩具版が汕頭の澄海なのです。

啓蒙玩具の工場
啓蒙玩具の工場(https://developer.aliyun.com/article/765752

啓蒙玩具は今でこそレゴ互換製品を多数リリースしていますが、以前は「労働力を武器になんとか製造している」といった状態の企業でした。長い間、製造納期の短さや、製品の品質管理や、在庫サイクルの多さなどの一連の問題に直面してきたものの、見て見ぬふりをしていたのです。ですが、どんどんトレンドサイクルが短くなり、時代のニーズにもいよいよ本腰を入れて対応する必要が出てきました。

こうした中で、啓蒙玩具はAlibaba Cloud(阿里云)と提携。産業インターネット(インダストリアル・インターネット)を導入し、製造のDX化(デジタルトランスフォーメーション)を行いました。

同社の工業インターネットの導入においては、材料のサプライヤーを繋ぎデータを活用して、注文から材料の準備、出荷に至るまですべてを監視します。

プラスチック素材を熱で溶かし、金型に流し込んで成形する「射出成形機」を150台用意し、SRM(サプライチェーン管理システム)、MES(生産執行システム)、WMS(倉庫管理システム)、ECシステムをつなげました。

啓蒙玩具のデジタル化ソリューション

啓蒙玩具のデジタル化ソリューション(https://developer.aliyun.com/article/765752

その結果、生産・販売をリアルタイムで調整し、ロジスティクスやキャッシュフロー全体を事前予測できるように。品質と効率の向上に加え、コストの削減を実現させました。同社によれば以前は1.8人が1台の機械を管理していましたが、システム導入により1人が8台の機械を管理できるようになったとのこと。

また射出成形ラインのスタッフを280人から86人へ削減し、代わりにライン容量を30%増加させた結果、在庫回転率が30日から20日に減少。また歩留まりが10%上昇する一方、廃棄率が15%低下し、全体の生産収入が100万元を超えたといいます。

アリババグループ副総裁の庫偉氏は、2019年開催の中国工業インターネット大会(2019中国工業互聯網大会)にて、「産業インターネット導入したところ、受注率は25%増加し、在庫は35%削減され、製品販売は15%増加した」というデータを発表しています。

ちなみにアリババの産業インターネットに関する部署は、汕頭や深センなどのモノづくりが中国でも特に活発な広東省の省都「広州」に本部があり、機械加工、製鉄、電子、服装、石油化学、食品など様々なジャンルの100以上の企業のDX化を行っているとのこと。

また、近年中国で人気急上昇のコレクショントイ「POPMART」が、Alibaba Cloudとの提携を発表しました。POPMARTは多種多様な製品をリリースしているだけに、今後の生産の効率化が期待できるでしょう。

 

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筆者プロフィール

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山谷 剛史(やまや たけし)

1976年東京生まれ。東京池袋近辺、福岡市、中国雲南省昆明育ち。フリーランスライター。
2002年より一貫して中国やアジア各国のITやトレンドについて執筆。中国IT業界記事、中国流行記事、中国製品レビュー記事を主に執筆。

主な著書に『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)』『ゼロからはじめる 海外旅行でスマホ活用 スマートガイド』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)』など

公式プロフィール:https://about.me/yamayat
Twitter:https://twitter.com/Yamaya