巨大越境ECを支えるクラウドネイティブの実践とコンテナ技術の紹介(FASBEE、さくらインターネット、ショップエアライン、SBクラウド共催セミナー)

10月25日にBEENOS株式会社にて、4社合同(ショップエアライン、さくらインターネット、BeeCruise/FASBEE、SBクラウド)による「巨大越境EC~最新の取組とインフラの裏側とは~」セミナーが開催されました。ここではSBクラウドの講演と、Alibaba Cloudを利用して越境ECのシステム構築を行っているFASBEEの講演をまとめてお伝えします。

 

FASBEEによるクラウドネイティブの実践とAlibaba Cloudの活用

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BeeCruise株式会社 システム開発部 FASBEEチーム SRE 高山太一 氏

FASBEEは2019年7月にオープンしたグローバルファッションECモールであり、世界120か国に向けて日本国内の約300のファッションブランドを販売しています。オープンから間もない現在は、香港・台湾を中心としたアジアをメインターゲットに据え、アジアで認知を獲得した後に世界各国への展開に力を入れていく予定で、高山氏は「目標は世界一のファッションサイトになることです」と話します。

本題では、はじめにFASBEEのインフラを構築するうえで重視したという「クラウドネイティブ」の思想について説明したあと、FASBEEのクラウドネイティブの実践方針として、次の5つを紹介しました。

  1. クラウドプラットフォームのサービスの特性を理解して有効に利用する。
  2. Kubernetesを導入して、その機能を有効に利用する。
  3. テストやデプロイを自動化し継続的デリバリの仕組みを構築する。
  4. 運用フローの継続的な見直しと改善を行う。
  5. クラウドのAPIを活用して手動プロセスの積極的な自動化を行う。

 

「いろいろと挙げましたが、要するにクラウドを利用することで品質を高めることを目指そう、品質を高めるためにクラウドを利用しよう、という考えのもとFASBEEではクラウドを利用しています」。

 

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クラウドネイティブの環境を実現するうえでAlibaba Cloudを選択した理由については、「現在のFASBEEは東南アジアや中国に注力したサービスを提供しているため、東南アジアに豊富なリージョンがある、中国との専用回線がある、中国国内にリソース作成が可能であり、中国国内から香港への通信を最適化するChaina Connectがあることが魅力的でした」

「また、事前にAlibaba Cloudの速度調査も行ったところ、安定して早く、揺れがないこともわかりました。他にも、Kubernetes環境を提供するContainer Serviceが充実していることがあり、私はAlibaba CloudのKubernetes環境は非常に強力なものだと思っています」。

 

jp.alibabacloud.com

 

さらに、最後の理由として、高山氏は「ECサイトに強いところ」を挙げました。「Alibaba Cloudは中国版Amazonと言われるECサイト“アリババ”のノウハウをサービス化したものなので、その背景からECサイトに親和性の高いサービスを提供されていると感じます。たとえば最近リリースされた「Image Search」という画像認証システムは、機械学習を使った類似画像検索で、撮影した写真と類似する画像をストレージから自動で読み込むものです。こういうところにECサイトへの強さが表れていると感じます」。

 

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FASBEEのグループ会社全体ではこれまでAWSを利用してきた背景があり、高山氏はAWSとAlibaba Cloudの違いについても触れました。

「AWSはサービスの粒度が細かく、連携が多く、汎用的な用途で使えるのに対して、Alibaba CloudはECサイトを手数が少なく構築できる印象があります。たとえば、セキュリティグループの設計が最小で抑えられていて、強力なログ監視システムのLog Serviceを使うことでアラームなどがスムーズに構築できるなど、ECサイトを運営するうえでAlibaba Cloudは非常に良いと感じています」。

 

FASBEE・先端グローバルファッションECを支えるサーバインフラ~Alibaba Cloud のコンテナプロダクトの紹介~

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SBクラウド株式会社 Alibaba Cloudソリューションアーキテクト 寺尾英作

 SBクラウド寺尾のセッションでは最初にAlibaba Cloudについて説明しました。

「アリババグループはECを中心とした中国のコングロマリットであり、Alibaba Cloudは約190カ国で展開するBtoBのECプラットフォームAlibaba.comやユーザー数約5.2億人のALIPAYなどのアリババの全てのサービスを支えるクラウドシステムです。現在は、リージョン数20か所、アベイラビリティゾーン61か所など、世界有数のパブリッククラウドに成長しています」。

 

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“世界有数のパブリッククラウドである”ことを証明するデータとして、世界的な調査機関Gartnerの資料を提示し、「IaaS領域では2018年のアジアパシフィック地域でシェア19.6%を占め、No.1の地位を獲得しました。私が所属するSBクラウドは、アリババとソフトバンクの合弁会社であり、日本でAlibaba Cloudを広めることを使命にしています」。

今回の本題であるEC系サービスでも多く利用されてきているコンテナサービスについては次のように語りました。

Container Service for Kubernetesは、フルマネージドのコンテナマネージドサービスであり、DockerとKubernetesを使用しコンテナ化されたアプリケーションを管理するものです。最近は、エンタープライズ領域、機械学習、エッジコンピューティングなどで、コンテナのニーズが高まっています。もちろんアリババの運営するECサイトのコアシステムの殆どはコンテナで動作してます。『Alibaba CloudのKubernetesはちょっと特殊なんじゃないの?』と聞かれることがありますが、CNCFからの承認を公式に受けているものなので、そんなことはありません。保管系のBlock StorageやNAS、ログ監視系のSLS Log ServiceやCloud Monitor、コンピューティングとネットワーキング系のECSやGPUなどと連携して利用することが可能です」と。

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Alibaba Cloud「Container Service for Kubernetes」

現在、Alibaba CloudのContainer Serviceは、Dedicated Cluster、Managed Cluster、Serverless Clusterと、3つのタスクモードがあることに触れ、「FASBEEさんで利用していただいてるのはDedicated Clusterです。この後に出てきたManaged ClusterはマスターのKubertenesをクラウド側で自動でつくるため、マスター側の管理をしていただく必要がなくなり、マスター側のインスタンス費用も無料になります。さらに、Worker Nodeのユーザー管理もなくしたのが、今はまだ日本リージョンは未対応ですがServerless Clusterです」と説明して、比較表を提示しました。

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Alibaba Cloud「Container Service for Kubernetes」タスクモード一覧

・Dedicated Cluster
Kubernetes MasterとWorkerはユーザーによって作成され、ユーザーによって完全に管理される。料金は無料(MasterとWorkerのリソース料の負担のみ)。全てのシーンで利用できる。

・Managed Cluster
Kubernetes Masterはコンテナサービスによって作成され、ユーザーはWorkerを作成するだけでよく、簡単、低コスト。料金は無料(MasterとWorkerのリソース料の負担のみ)。全てのシーンで利用できる。

・Serverless Cluster
Kubernetes MasterとWorkerを作成および管理する必要はない。料金はコンテナリソースの使用量と期間(秒)による課金。利用シーンは、バッチタスク、バースト展開、CI/CDテストなど。

「Apsara Conference 2019の発表によると、Serverless Kubernetes 2.0になっているそうです。以前はセキュリティ面ではシェアードのマスターだったのが、完全に独立したマスターになり、ネームスペースが独立する、VCPにも入るなど、いろいろなメリットが生まれています。今日はコンテナサービスを中心に紹介しましたが、Alibaba Cloudは世界20リージョンで使える他にも負けないメガクラウドサービスであり、コンテナサービスも他社に負けないくらい充実しているということを覚えていただければ幸いです」

 

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イベント後半では4社によるパネルディスカッションが行われました。

Alibaba Cloud「Container Service for Kubernetes」については下記のスライドでも解説しております。