ナビタイムジャパン、メルカリ、スクウェア・エニックスが登壇「Alibaba Cloud Internet Champion day」レポート

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(アリババクラウド・ジャパンサービス株式会社 カントリーマネージャー ユニーク・ソン 氏)

10月30日に「Alibaba Cloud Internet Champion day(秋)」が開催されました。「Internet Champion Day」とは、インターネット企業、中小企業、スタートアップ企業など、さまざまなお客様が、業種、業界の垣根を超え、互いに技術を学び、ビジネスインサイトを深めるための交流の場になるとともに、ビジネスエコシステムを構築することにより世界中のパートナーとの協業を促進する場です。

今回のレポートは、このイベントで発表されたAlibaba Cloudの利用事例・検証事例について、ナビタイムジャパン、メルカリ、スクウェア・エニックスを中心にまとめて紹介します。

 

Alibaba Cloudの日本展開について

 

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オープニングスピーチに登壇したのはアリババクラウド・ジャパンサービス株式会社 カントリーマネージャー ユニーク・ソン氏。「2016年にAlibaba Cloudが日本に進出してもうすぐ3年が経過します。ここで改めて“Alibaba Cloudが日本で何をしたいのか?”というところをご紹介します」と、日本進出の背景を説明しました。

ソン氏は日本進出の目的について、①日本のクラウドユーザーに新たな選択肢を、②アリババグループのソリューションで顧客のビジネスをサポート、③開発者の皆様に新たな技術を提供、④アリババグループが蓄積したノウハウを日本の顧客に共有、の4点であると説明しました。

「Alibaba Cloudはまだ完璧なシステムではありませんが、お客様を大切にし、1人ひとりのお客様に向き合って価値を提供しています。多くの企業は、第一に株主ですが、私たちは第一に顧客、第二に社員、そして第三が株主です。今年で創立20周年を迎えるアリババは、これからも初心で挑み、誠実で、顧客に“価値”を提供するクラウドベンダーであることを目指して挑戦を続けてまいります」

 

ナビタイムジャパンのクラウド活用事例~2週間でAlibaba Cloud上に本番サービスをデプロイした話~

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(株式会社ナビタイムジャパン 田中一樹 氏)

オープニングスピーチの後は、実際にAlibaba Cloudを利用している事業会社による事例の紹介へと進みました。1人目として登壇したナビタイムジャパンの田中一樹氏は、2019年5月にリリースした訪日中国人向けの乗換検索サービスのバックエンドの構成の一部にAlibaba Cloudを利用していることを紹介しました。

「Alibaba Cloudのさまざまなプロダクトを導入しています。中国国内からのアクセスと訪日時に日本国内からのアクセスを高速で行うためにCDN経由でアクセスしています。また、社内で既に利用実績のあったKubertenessを利用するためECSに直接アプリケーションをデプロイするのではなくContainerServiceを使っています。他にも、OSS、SLB、Spinnakerを利用して、環境を構築しました」。

今回は、サービスのデプロイまでに2週間、サービスインまでに4週間の期間で実現した一方で、田中氏は「途中でつまずくポイントが結構ありました」と振り返ります。

「たとえば、CDNには無料の証明書が利用可能ですが、証明書の認証にはドメインをCDNに設定しておくことが必要です。また、Nat Gatewayを作成する前にContainer Clusterを作成すると自動で作成されますが、Cluster削除時に一緒に削除されてしまいました。ここは注意が必要で、事前に別につくっておくことをおすすめします」。

リリース後の所感については、「マネージドサービスが豊富、権限管理がしっかりできる、DataVがかっこいい、サポートエンジニアの方にとことん入ってもらえる」と、良い点を挙げると同時に「日本のドキュメントが少ない、権限管理がRAMだけで完結しない」などの“要望”もまとめて講演を終了しました。

また、同日にはアリババクラウドとナビタイムジャパンによる訪日中国人旅行者に向けたサービスでの連携も発表されました。

www.alibaba.co.jp

 

メルカリによるAlibaba Cloud「Image Search」の検証と「Apsara Conference 2019」でのTakeaways

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(株式会社メルカリ 福田慧人 氏)

2人目の登壇者はメルカリの福田慧人氏。

本題として、メルカリにて検証したAlibaba Cloudの画像検索エンジン「Image Search」について解説しました。「Image Searchは写真から類似した商品を探すことができる機能です。AIがなかった以前は画像をうまく利用することができていませんでしたが、現在はAIによって画像のもつ力を活かした“ImageTech”が実現し、新しい顧客体験が生まれています」。

その具体例として、福田氏は3つのポイントを挙げました。

「たとえば出品者は、僕らが“感動出品”と呼んでいるAI Listningによって、撮影したアイテムの商品名やブランド名が自動で出てくるようになり、出品が以前よりも簡単になりました。また、買い手側は今まではテキストによって求めるアイテムを見つけていましたが“パンの袋を止めるクリップのようなもの”など商品名がわからないものも画像によってスムーズに探すことができるようなっています。さらに、メルカリ内部に目を向けると、違法なアイテムを自動で見つけて、削除することが可能になりました」。

さらにImage Searchの出現によって“面白い状況が生まれている”と福田氏。「以前はECサイトで目的の商品を見つけた場合、そのまま購入していたユーザーが、今はそのECの写真を使ってメルカリで画像検索をする人が増えています。また、オフラインの場でも、お店や街中で気になる商品があったときに写真を撮って、簡単にメルカリで画像検索をして見つけられるようになっています」。

 

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講演タイトルの後半部分の「Apsara Conference 2019 でのTakeaways」では、福田氏が参加したAlibaba Cloud主催カンファンレス「Apsara Conference 2019」の内容や福田氏が得られた知見等について発表されました。

 

スクウェア・エニックスによるAlibaba Cloud Anti-DDoSの検証

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(株式会社スクウェア・エニックス 野島貴英 氏)

3人目の登壇者は株式会社スクウェア・エニックス 野島貴英氏です。野島氏からはAlibaba Cloud Anti-DDoSの検証に関する発表がありました。

野島氏が属する部署は、情報システム部 ITインフラストラクチャー ソーシャルゲームグループ(SIG)で、「SIGは、弊社のMMOタイプのゲーム以外のブラウザゲーム、アーケードゲーム、スマートフォンゲームのサーバの構築・運用・トラブル対応・サーバ周りの技術相談対応を主な業務とするグループで、社内よりもお客様にコミットする社外向けのチームという位置づけです」と説明。

野島氏はゲームサービスへの主要な攻撃は、チートツールによる攻撃、BOTによる攻撃、DDoS攻撃の3つがあると解説しました。

「その中でもDDoSは特に対応に苦慮します。DDoS攻撃とは、悪意のあるユーザが世界中で不正に取得した多数の拠点からサービスを攻撃し、一時的に誰もサービスを利用できなくしたり、サービス品質を著しく低下させる攻撃です。膨大な量の通信パケットを流し込まれて、インフラが丸ごと激しい障害を受けることがあります」。

DDoS攻撃の“対策の定石”は、大規模な攻撃の中、細かい通信制御を状況・知見に基づいて実施しつづけなければならないため、専用サービスを使うことであると解説。

「ただ、弊社のゲームの中にDDoS攻撃の専用防御サービスに入っていないものがあったため、Alibaba CloudのAnti-DDoSを含めた4社から比較して決めることにしました」。防御サービスに対する要望は、フロント側にDDoS防御サービスを入れることでDDoSを可能したい、DDoS防御サービスのゲームサービス側プログラムへの影響をできる限り小さくしたい、という2点。

「比較したところ、Alibaba CloudのAnti-DDoSは、HTTP/HTTPS対応、WebStocker対応、担当技術者によるサポート有り、月毎の契約が可能、非WebサイトにてTCPのSRC IP保存は条件付き対応で、我々が求める要望とマッチしていたと思います。Alibaba CloudのAnti-DDoSには、Anti DDoS Basic、Anti DDoS Premium、Anti DDoS Pro、Game Shieldの4つがあります。本当はGame Shieldの検証をしたかったのですが、アプリケーションとの連携が必須だったため、Alibaba Cloud外に設置しているシステムをDDoS防御することができるAnti DDoS Premiumにて検証を行いました」

SIGにおけるAnti DDoS Premiumの検証後の感想としては、「全く問題なく使うことができています。プログラマの手を煩わせることなくシステムが動作したのは大きいポイントでした。サポートも手厚く大変助かりました」と野島氏は話しました。

 

Alibaba Cloudの技術戦略~Apsara Conference 2019より~

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(アリババクラウド・ジャパンサービス株式会社 ソリューションアーキテクト 泉浩宣 氏)

「Apsara Conferenceは毎年秋に杭州のクラウドタウンで開催されるAlibaba Cloud最大の技術イベントです。これはアリババのテクノロジーショーケースであり、Alibaba Cloudの未来に関する発表が行われています」。

2019年に掲げられたテーマは「数・智/THE RISE OF DATA INTELLIGENCE」。このテーマについて泉氏は「“数”は数字やデータを表し、“智”はインテリジェンスや知見を表しています。今までのアリババはデータドリブンな社会をつくろうとやってきましたが、今回のテーマでは、数・智を活用して、クラウド・ビッグデータ・IoT・モバイルの4本柱によるデジタルトランスフォーメーションを実現しよう、という話が出ていました」と語りました。

 

DXを支えるインテルの技術戦略と、オリンピック競技大会に向けた取り組み

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(インテル株式会社 執行役員常務 技術本部 本部長 土岐英秋 氏)

後半はAlibaba Cloudのパートナー企業による講演が行われました。まずはインテル株式会社の土岐英秋氏より「DXを支えるインテルの技術戦略と、オリンピック競技大会に向けた取り組み」について発表がありました。

最初に土岐氏は“データ中心の世界”へと世の中が移行していることを示唆しました。「2011年以降、データ量は年平均成長率25%~と爆発的に増加しています。とはいえ、世界のデータの50%以上は直近の2年間で生成されていますが、分析されているのは2%以下と言われているので、ここにビジネスチャンスがあると考えることができます」。

 

セキュアクラウドDBによる、安全なデータ保全・活用と流通の促進

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(EAGLYS株式会社 代表取締役社長 今林広樹 氏)

イベントの最後はEAGLYS株式会社代表取締役社長今林広樹 氏とDataGateway株式会社 代表取締役社長 向縄嘉律哉 氏による講演です。

今林氏と向縄氏は、秘密計算の「EAGLYS」、ブロックチェーン技術の「DataGateway」、そしてAlibaba Cloudの3社による世界初のソリューション「DataArmor Crypto-Ledger Database」について説明しました。

「現在、AIプロジェクトの失敗率は98%と言われています。その背景にあるのがデータセキュリティの問題で、①機密データを共有できない、②マスキング等でデータの質が悪い、③クラウドで運用できないという点がありました。この課題に対してこれまでのソリューションは、データの質を犠牲にしたり、初期コストがかかりすぎるなどの問題がありました。その点、秘密計算ではデータを暗号化したまま処理することが可能であり、秘密計算によるセキュアなデータ解析ソリューションとして開発したのがDataArmorです。そして、DataArmor Crypto-Ledger Databaseは、機密データは常時暗号化、操作ログは耐改ざんを実現したデータベースです」と今林氏。

 

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(DataGateway株式会社 代表取締役社長 向縄嘉律哉 氏)

向縄氏は「今回のブロックチェーンはAlibaba Cloud標準対応済みのHyper Ledger Fabricを使用しています。このデータベースを利用することで、データ提供者は流通による新たな収入を確保することができ、データ利用者は顧客サービスを向上させることができるようになります。我々はDataArmor Crypto-Ledger Databaseがこれからのスタンダードになっていくと考えています」とまとめました。

 

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