「なぜマイネット社がAlibaba Cloudを選んだのか?」CEDEC2019 講演レポート

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2019年9月4~6日の3日間にわたり、パシフィコ横浜で開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2019。SBクラウドは5日、セッションの1枠として、株式会社マイネットの堀越裕樹氏と株式会社ビヨンドの佐藤聖賢氏をゲストに招き、「Alibaba Cloudで構築するゲーム基盤 ~対談:なぜマイネット社がAlibaba Cloudを選んだのか?~」を開催しました。

 

設計思想は「絶対に落ちないこと」ゲームインフラとしてのAlibaba Cloud

セッションは、SBクラウド事業推進統括部の松井巧海によるAlibaba Cloudの簡単な紹介からスタートしました。

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SBクラウド株式会社 事業推進統括部 松井巧海

「アリババはECを中心としたコングロマリット企業であり、BtoB、CtoC、BtoCのECプラットフォーム、QRコード決済、SNS、動画サイト、これら6つの代表的サービスで中国トップシェアを誇っています。アリババクラウドはMAU7億人超の中国の人々の生活に密接に関わるサービスを支えるインフラであり、“絶対落ちない”と“データ活用”が設計思想になっています」

 

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さらに、中国国内に限らず、市場シェアは世界で3位・APAC1位で、年成長率は92.6%と群を抜いて高く、世界有数のパブリッククラウドに成長していることを強調しました。

「ゲームインフラとしてのAlibaba Cloudの特徴は、絶対落ちないための可用性とセキュリティ、IoTやAIまでカバーする充実したプロダクトラインナップ、圧倒的なコストパフォーマンスの3つがあります。特にコストについては最近のゲーム業界でも、コストを意識してクラウドサービスを既存のものから移行する企業様が増加しています」。

ゲームに求められるシステム要件と導入事例

続いて登壇したSBクラウドソリューションアーキテクトの有馬茂人は、ゲームに求められるシステム要件や導入事例などを解説。

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SBクラウド株式会社 ソリューションアーキテクト 有馬茂人

「ゲームに求められるシステム要件は、アベイラビリティ、スケーラビリティ、パフォーマンス、ヴィジュアライゼーション・アナリシス、セキュリティ、モニタリングの6つが考えられます」。

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この6つを意識しながらゲーム基盤を構築する際は、そのクラウドがどのようなプロダクトを揃えているかを確認する必要があるとしたうえで、ゲーム構築に必要となるAlibaba Cloudのプロダクトラインナップの一部を紹介しました。

 ・Anti-DDoS Premium
 1日1,000回以上のDDoS攻撃を受けるアリババが自社サービスを守るために独自開発したサービス。

Server Load Balancer(SLB)
 レイヤー4およびレイヤー7に対応。TCP、UDP、HTTP、HTTPSプロトコルに対応し、インターネットタイプとイントラネットタイプが利用可能。

Elastic Compute Service(ECS)
 仮想コンピューティング。ブロックストレージ・スナップショット・セキュリティグループ・ENI・EIPの利用が可能。

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これらのプロダクトを利用した実際のゲームインフラ構築事例を複数示したうえで、「Alibaba Cloudを使用してゲームインフラを構築できる、ということを今日ご来場された方には持ち帰っていただきたいと思います」とまとめました。

 

なぜ、マイネット社がAlibaba Cloudを選んだのか?

セッションの最後は、Alibaba Cloudを実際にゲームタイトルのインフラとして構築・運用しているマイネット エンジニアリング統括部長の堀越裕樹氏と、マイネットの運用サポートを担当しているビヨンド システムソリューション部長の佐藤聖賢氏が登壇し、SBクラウドの2人も交えてQ&A形式の対談を行いました。

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株式会社マイネット エンジニアリング統括部長 堀越裕樹 氏(左) 株式会社ビヨンド システムソリューション部長 佐藤聖賢 氏(右)

冒頭で堀越氏がマイネットの事業モデルやインフラ運営についての考え方について説明。

「マイネットはゲームを自社で開発しているのではなく、他社から譲り受け、運営するというスタイルです。そのため、インフラは現在運営している37タイトルごとに全て環境・設計思想が異なり、それらを平行運用する難しさがあります」

「そこでビヨンドさんに協力いただきながら、既存のインフラを解析し、ブラックボックスをなくした上で、各ゲームインフラの最適化を模索しています。クラウド間移設もその一環です。ただし、最適化によりコストが下がったとしてもサービス品質が落ちてしまっては意味がないので、品質は担保したまま最適化できるかどうかが大きなポイントになります」。

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堀越氏はAlibaba Cloudを選んだ理由について、「去年ぐらいから日本に新興のクラウドサービスがたくさん進出してきています。私はいくつもの新興系クラウドをチェックしていますが、Alibaba Cloudはプロダクトが充実していて、他と比べても圧倒的に多いという印象です」とAlibaba Cloudのプロダクトラインナップを評価しました。

また、「クラウド間移設は大変な作業なので、たとえプロダクトが充実していてもコストが同等だと実施メリットが薄いのですが、Alibaba Cloudはコスト面も攻めており、移設前後のインフラ費用を比較すると半額から7割程度まで下げることができた例もあります。コストを下げられると、それだけコンテンツを健全に運営することができる期間が長くなるという事です」とコスト面での優位性も説明しました。

 

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続いての質問は、導入のハードル。「社内の説得は大変でした(笑)。なぜクラウドを変える必要があるのか? 本当に大丈夫なのか? 中国のクラウドでデータを抜かれたりしないか?など、さまざまな声がありました」と社内からは疑問の声もあったようです。

それに対して堀越氏は「まず自分自身がAlibaba Cloudを使って、これなら大丈夫と実感する必要がありました。加えて、そもそも品質がよくなければこれだけのグローバルシェアは獲れないはずなので、Alibaba Cloudの品質に問題はないと判断しました。サポートも対応がとても早く、丁寧なところも安心材料でした」と語りました。

また、データ管理における不安点についても「Alibaba Cloudのセミナーで『日本の法律に準拠している』旨を伺っております。この点は中国だからどうこうという話ではなく、クラウドで運用する以上は外にデータを預けるというのは同じです。そこで身動きが取れなくなると本質を見失ってしまう恐れがある、と社内には説明しました」と社内説得の方法を紹介しました。

 

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導入の難しさについては、ビヨンドの佐藤氏が回答。「弊社もAlibaba Cloudは初めての体験でした。データ移行が一番難しいところですが、昨年リリースされたData Transmission Service(DTS)があったことが大きくて、特に難しいところもなく進めることができました。堀越さんが言うようにサポートの早さも大きくて、“これは大丈夫ですか?”と聞くと、すぐに“直ります、大丈夫です”などと返答をもらえたので、その点も助かりました」。

 

最後の「今後、Alibaba Cloudに期待することは?」という質問に対して、佐藤氏は「本国のプロダクトラインナップを見ると、使ってみたいサービスがいろいろあるので、ぜひ日本にも導入してもらいたいですね。また、それについてネットで調べようとしても、日本でリリースされていないものは中国語の説明しかないので、英語の説明があるとうれしいです」。

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堀越氏も「私も佐藤さんと同じく、本国のプロダクトの日本展開には期待しています。あとは高い安定性の継続ですね。今後、(クラウド業界における)Big3がAlibaba Cloudを含むBig4になる可能性は十分にあると思います。そうなったときも今と変わらずに挑戦心をもち、革新的なプロダクトを出し続けていただきたいです」とAlibaba Cloudへの期待を語り、セッションは終了しました。

 

<講演者プロフィール>

・松井巧海 (SBクラウド株式会社 事業企画統括部)
2018年よりSBクラウドの営業としてゲームを始めとする多くのWeb系のお客様に対して、新規構築・マイグレーションを問わずAlibaba Cloud導入支援を多数担当。
現在は同業界のユーザー様にさらにAlibaba Cloudを広めるための企画職に従事しています。

・有馬茂人(SBクラウド株式会社 ソリューションアーキテクト)
2018年にSBクラウドに入社。ソリューションアーキテクトとして、主にゲーム・エンターテイメント企業のお客様へ、Alibaba Cloudを活用した提案・ 支援を行なっています。

・堀越裕樹 氏(株式会社マイネット エンジニアリング統括部長)
1997年頃からWebサービス会社で開発業務に従事。SI事業・携帯サイト事業などを経て、2009年以降モバイルゲーム業界にシフト。2018年からマイネットにてゲームタイトル移管におけるエンジニアリング領域を担当。


・佐藤聖賢 氏(株式会社ビヨンド システムソリューション部長)
コールセンターでのエンタープライズ系サーバのサポートを経て2007年からISPのサーバ,ネットワーク運用に7年間従事。
2014年からビヨンドにて24/365の運用保守サービスを支える責任者兼現役インフラエンジニアとして活動。

 

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