Alibaba Cloud Gaming Event 「中国市場と日本市場スマホゲームの違いと現状 」イベントレポート 

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5月29日に渋谷Tech PlayでAlibaba Cloud Gaming Event 第四弾「中国市場と日本市場スマホゲームの違いと現状」が開催されました。 

ゲストスピーカーは、黒川文雄さん(メディアコンテンツ研究家)、加藤賢治さん(SQOOL)、坂本達夫さん(Smartly.io)、森岡夢信さん(IGG Japan)、森昭生さん(SHIFT)。ゲーム業界の第一線で活躍する5人が登壇し、「日本市場で好まれるゲーム」「中国ゲーム市場の動向」「版号問題」など、各々が強みをもつ領域をテーマに掲げて講演を行いました。

 

「日本のゲーム市場動向と中国から見た日本のゲーム市場」

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メディアコンテンツ研究家、黒川塾主宰の黒川文雄さん

最初に登壇したのは、メディアコンテンツ研究家の黒川文雄さんとSQOOL代表取締役の加藤賢治さん。

まず、黒川さんは日本ゲーム市場の推移グラフを示したうえで、「2008年以降はゲーム市場自体が右肩上がりで伸びている一方で、家庭用ソフトとハードが衰退し、オンラインプラットフォームの占める割合が大きくなっています」と説明。

同時に、アプリゲーム市場が2017年:1兆580億円、2018年:1兆3,192億円と伸びているデータを掲げて「アプリゲームは開発費が5億円、マーケティング費用で2から3億円かかることもざらにあります。そのため、大手などゲームをつくることができる会社が限られてきています」と日本の状況をまとめました。

日本と中国のゲーム市場の違いについては「日本の人口約1.3億人に対して、中国は約13億人と10倍です。そのため、中国のほうがゲームユーザーは多いものの、課金という面では日本のほうがお金を払ってくれる傾向にあると感じています。日本の重課金者は全体の3%ほどで、僕がファミスタオンラインをやっていたときは月300万円課金する人もいましたね」と説明しました。

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SQOOL代表取締役の加藤賢治さん

加藤さんは“重課金者”にポイントを置きながら「日本は世界でも特殊な市場で、大きなヒットを出すことは簡単ではありませんが、重課金顧客が満足すれば大きな売上に直結します」と説明。そのうえで日本でのゲームのプロモーションの重要性に触れ、中国では禁止されているTwitter、LINE、Facebook、Instagramの4つのSNSのポイントを解説。

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「この中でもゲーム好きがよく使っているTwitter、日本人で登録者が7千人いるLINEが有効です」

また、中国にはないプレスリリースのプラットフォームが日本にはあるため、プレスリリースもプロモーションは重要な役割を担うと解説しました。

 

スマホゲーム市場を席巻する「ハイパーカジュアルゲーム」について

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Smartly.io 坂本達夫さん

Smartly.ioの坂本達夫さんはハイパーカジュアルゲーム市場に焦点を絞って講演を行いました。

ハイパーカジュアルゲームとは、シンプルな構成で誰もが楽しむことができて、何度もやってしまう中毒性があるゲームのこと。

「日本はまだコアゲームがランキングに入っていますが、アメリカの2019年のランキングを見ると、大半がハイパーカジュアルゲームになっていることがわかります。中国のランキングを見ると、グローバルのハイパーカジュアルゲームが上位に入らず、自国のゲームが占めていますね」

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ハイパーカジュアルゲームが成功する要因は3つあると坂本さんは解説します。

 

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1つはLTV>CPI。通常、ハイパーカジュアルゲームをローンチする際は広告をたくさん打つもので、インストール単価がアメリカでは1回50~100円、日本では500~1,000円と1桁違いますが、ゲームを成功させるためにはインストール単価よりも高いLTVを獲得する必要があります。

2つめはSticknessで、何度も起動してプレイし続けてしまうこと。

3つめはVirality。人気ゲームになるためには、ユーザーを選ばないデザインで、ひと目で見てわかるシンプルさが必要です」。ターゲットを絞りすぎず老若男女が楽しめるゲームにすることでこれらの要点を満たしやすくなり、さらにインストール単価も安くなる傾向にあると説明しました。

 

中国ゲーム業界に激震が走った「版号問題」とは?

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IGG Japan 森岡夢信さん

中国国内のゲーム業界に精通しているIGG Japanの森岡さんは中国でゲームを公開する際に避けては通れない「版号問題」に触れ、申請費用など詳細を説明しました。

 「中国ではゲームコンテンツの公開には中国政府のライセンスを取得する必要があります。版号には2つの種類があり、第三種類は費用が8,000人民元(132,000円)、期間が約3カ月、第四種類は12,000人民元(200,000円)、約6カ月です。中国でゲームを出すためには政府とのリレーションが非常に重要になります」。

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さらに中国のゲーム市場の動向を解説。2000年代は海外のPCタイトルや映画などのIPを利用したMMORPGが流行、2010年代はアニメタイトルを中心にスマホへシフト、2017年頃からは国産タイトルがかなり増えてきたことを説明しました。

今後については「二次元、海外IPが流行ると思います。中国では漫画やアニメ、ゲームを総称して二次元と呼びますが、ここのファン層は今90年代後半生まれなのでまだ若いため、これからますますの課金が期待されています。海外IPは去年、中国でラングリッサーがかなり流行りましたが、今後も勢いが出てくるでしょう。中国ではゲームが多様化している、むしろ多様化しきっている状態なので、ゲーム会社はコンテンツ自体よりもマーケティングでの差別化が求められるようになると思います」と中国進出を検討している日本企業へアドバイスを送りました。

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中国で進む「コンテンツの国産化」

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SHIFT 森昭生さん

最後に登壇した森昭生さんは中国のゲームコンテンツが“国産化”していることに触れました。

「現在、中国のゲーム市場は95%の売上を国内ゲームが占有しています」。

その原因として、中国のエコシステムの変化を挙げます。

 

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「2015年ぐらいまでの中国は漫画やアニメなどで足りないものは日本から買っていました。でも今は、中国のラノベ作家のトップが年収1.1億元(17億円)稼ぐことからもわかるように原作の市場が活性化して、原作からゲーム制作までを国内だけで一気通貫で賄えることになったことが大きいですね」

その状況で中国と取引をする日本のゲーム業界がブレイクスルーするためには、売り買いから共同開発へ舵を切る、中国に進出するのではなく彼らの日本進出を支援するなど、思考の変化の重要性を説明しました。

また、ゲームが成功するかのカギを握る重課金者に関するリサーチ結果についても紹介しました。

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「重課金者は1本のタイトルに集中しがちなので、そこで選ばないといけない」

「他のユーザーと比べて対戦ゲームで勝つために課金する傾向にある」

「最初のガチャ結果で離脱しやすい」

「他の面白いゲームを見つけると辞めて移る傾向が強い」

など興味深いデータが並びました。

ゲーム業界にも力を入れるAlibaba Cloudの戦略

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アリババクラウド 与謝野 正宇

イベント最後にはアリババクラウドのインテリジェンスビジネスグループ ソリューションアーキテクト・与謝野正宇が登壇し、日本のゲーム業界におけるAlibaba Cloudの戦略を紹介しました。

「日本のゲーム市場はもっとも重要なマーケットの1つで重点的に力を入れていく方針です。高品質・低価格のクラウドインフラを提供するとともに、パートナー、ユーザーと協業でエコシステムの構築を行っていきます。現在は中国ゲーム会社の日本進出のサポートを行っていますが、今後は逆に日本ゲーム会社の中国進出のサポートもやっていきたいと思っています」

締めくくりに、「今は日本だけでのゲーム開発が減っているため、グローバル化したゲーム開発・運営をアリババのネットワークで連携させていきます」とまとめました。

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会場には100名以上のゲーム業界関係者が参加しました

 

今後のイベントスケジュールはこちらからご確認いただけます。

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