Rubyの父、まつもとゆきひろ氏が語るRuby3の展望「Alibaba Cloud #MeetMatz 」講演レポート

Alibaba Cloud Pu Ling氏とまつもとゆきひろ氏

Alibaba Cloud Pu Ling氏とまつもとゆきひろ氏

4月25日に渋谷Tech Playで開催されたAlibaba Cloud「Meet Matz」。このイベントでは“Rubyの父”として知られる「Matz」こと、まつもとゆきひろ氏をゲストスピーカーに迎え、Rubyの現状と今後の展望に関する講演のほか、Alibaba CloudシニアテクノロジーエキスパートのPu Ling氏とのパネルディスカッションなどが行われました。

アリババグループのサービスを支えるAlibaba Cloud

オープニングではAlibaba Cloud Japan LeadアーキテクトのChenChen氏がAlibaba Cloudの現状と今後について話しました。

アリババグループは創業から20年が経過し、2017年度に流通総額7,680億ドルにまで成長しました。また、Alibaba Cloudはそのグループの全てのサービスを支えている存在であることを強調しました。

Alibaba Cloud Japan Leadアーキテクト ChenChen氏

Alibaba Cloud Japan Leadアーキテクト ChenChen氏

現在、ECからエコシステムまで幅広くサポートを行うAlibaba Cloudは、国内だけではなく海外にもサービス展開を拡大している段階で、デジタル時代のオリンピックの発展と進化をサポートすべく、IOC(国際オリンピック委員会)と2028年までの長期的なパートナーシップ契約を締結しています。

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Alibaba Cloud Technology Communityについて

続いて登場したAlibaba Cloud シニアテクノロジーエキスパートのPu Ling氏は、今年3月に北京でAlibaba Cloudに関するアリババグループ内での調整があったことを発表。①DAMO(自社研究機関)、②プロダクト、③ビジネス、④クラウドの概念の4つのポイントで話し合いが行われ、特に重視されたのは④の概念で、CTOからは「Alibaba Cloudは集約が基本」という話があったことを紹介しました。

Alibaba Cloud シニアテクノロジーエキスパート Pu Ling氏

Alibaba Cloud シニアテクノロジーエキスパート Pu Ling氏

また、Alibaba CloudのOpenAPIについても解説し、以前はプロダクトを利用するためにコンソールを使う必要があったものの、現在はOpenAPIによってもっと深くまで簡単に利用することができるとし、「OpenAPIは高速道路をつくるイメージで、OpenAPI SDKは高速を走るための車。OpenAPIを利用して車やバスなど、スムーズに移動できるさまざまな乗り物ができる感覚です」と語りました。

さらに、言語対応にも触れ、「OpenAPIはRubyやJavaなど8言語に対応しています。以前はRPCやROAなど複数のAPI Stylesのそれぞれに応じたSDKを用意する必要がありましたが、今はAPI Stylesとプログラミング言語の間にOpenAPI DSLを入れたことで、それぞれの言語に自動生成されるようになりました。そのため、開発者は入力と出力のことだけ考えればよく、エンドユーザーは何も気にすることなくAlibaba Cloudの製品を利用することができるようになりました」と話しました。

まつもとゆきひろ氏が語るRubyの現状と展望

一般財団法人Rubyアソシエーション理事長 まつもとゆきひろ氏

一般財団法人Rubyアソシエーション理事長 まつもとゆきひろ氏

“Rubyの父”として知られる「Matz」こと、まつもとゆきひろ氏は、プログラミング言語「Ruby」の現状と展望について講演を行いました。

Rubyの良い点として、高い生産性や柔軟性、楽しさを挙げて、現在はクックパッドやairbnb、GithubなどがRubyを利用している状況を解説。

ただ、良い点がある一方で、パフォーマンス性やマルチコアで多数のコアを活用できていない、Webサービスが大きくなったときに難易度が上がる点など、「万能ではない」ため、現在はさらなる改善を求めてRuby2からRuby3へ開発を進めている段階と説明しました。

「現在、パフォーマンス、並列処理、静的解析の改善にポイントを置き、作業を進めています。Ruby3の発表までまだ1年半あります。Rubyはいつも魅力的な言語であると同時に、生活をサポートする存在であり続けたいので、今後もパフォーマンスの改善を続けていきます」と話しました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

まつもとゆきひろ氏とPu Ling氏の2人が登壇し、パネルディスカッションがスタート。冒頭ではそれぞれの講演を聞いた感想を述べました。

まつもと氏「Alibabaのビジネスの話を聞いて、数は力だと強く感じました。その力をビジネスやプラットフォーム、またRubyをよくするために使えるといいと思いました」。

Pu Ling氏「まつもとさんの講演内容に共感しました。以前はRubyを仕事で使う機会は少なかったが、Rubyの思想から学ぶことは多くありました。今日のイベントでよりRubyのことを重視して、中国に持ち帰り、深く力強く進めていきたいと思います」。

最後にまとめとして、改めて2人がコメントしました。

Pu Ling氏「私が学生時代、まつもとさんは私のアイドルでした。今日やっと会えて感激しました。今後、ますますAlibaba CloudでRubyの活用を広めたい。日本のRubyユーザー、Alibaba Cloudユーザーにメリットをもたらすことができると思います」。

まつもと氏「1997年にオープンソースという言葉ができましたが、最初はその言葉わかってもらえず、“Rubyはなんでタダなの?”、中国の方からは“Rubyは政府がつくっているの?”と聞かれました。それから十数年が経ち、今は中国でRubyが使われていて、中国の方が積極的にオープンソースの開発に積極的に携わっているのはうれしいこと。中国でRubyを使っている人がたくさんいて、国境や言葉を超えて一緒に働けるのは良いことです。Alibaba Cloudのクライアント含めて、Rubyを使いたい人たちと一緒に良いサービスをつくるためにお手伝いしたいし、みなさんから要望などを受け取って、Rubyをもっとよくしていきたいと思っています」。

日本におけるAlibaba CloudとRuby

Alibaba Cloud Japanシニアソリューションアーキテクト 泉浩宣氏

Alibaba Cloud Japanシニアソリューションアーキテクト 泉浩宣氏

最後にAlibaba Cloud Japanシニアソリューションアーキテクトの泉浩宣氏が登壇し、2019年1月にリリースされたAlibaba Cloud 「OpenAPI Explorer」について解説を行いました。

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泉氏は「Alibaba Cloudは中国では200近い製品を展開しており、それに対してAPIがたくさんあるため、全て覚えることは難しい。そこで我々はプログラマを支援するためのOpenAPI Explorerを用意しました」と語ったほか、コマンドベースで簡単にオペレーション操作できること、また、多くの要望があったためOpenAPI ExplorerもRubyに対応したことも説明しました。

Alibaba Cloud OpenAPI Explorerの概要

Alibaba Cloud OpenAPI Explorerの概要

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